大東流の三大技法（続）20

鶴山先生は、合気柔術は初伝までが武術で、そこから先は武術ではないと語っていました。これは坤之巻の系統のことです。中伝以降は理論体術と呼ばれる技法群です。

坤之巻は肉体が老化してくる中高年を対象として組立てられた養生動作＝ヨガ技法を中心に展開します。これは初伝技法（いわゆる合気道技法）を基礎として術理に沿った応用展開がなされます。ヨガ技法・蜘蛛之巣伝を知っていればあらゆる捕技から似た形に入れますが、あくまでも、正統な術理に則った展開が要求されるのです。

ヨガ技法は二人ヨガとも呼ばれており、伸展・捻転・圧縮動作を他人が手助けすることにより限界までのストレッチが可能になるのです。この技法を通じて、若返り（回春）を図り、ストレスを解消させ、心身をリフレッシュさせることができます。
この修練を通じて、心身の柔軟性・忍耐力・先見力・集中力・思いやりの心を養うのです。

一方、蜘蛛之巣伝は形こそヨガ技法と似ていますが、「ご油断めさるな」「勝って兜の緒を締めよ」の戒めの教訓とともに、相手に対し間違いに気づかせる「改心を促す」動作なのです。

いずれの技法も、段階的に変化していき最後は複雑な固め技に収斂します。これを体験することにより、固定観念や先入観を打破し、時と場所を変え思考パターンを変化させることの大事を学ぶのです。