第1か条のこと
植芝合気道では、大東流合気柔術の第1か条(表裏)と同じ技を第1教と呼んでいます。
大東流合気柔術の第1か条は、2系統あります。1系統は柔術第1か条(30本)の内の一本捕を簡易化したもの、もう1系統は柳生流柔術(合気道技法の原型)の第1か条です。これらは素人的にみると動作(技の見かけ)はあまり変わりませんが、その背景とコンセプトは全く異なる技法なのです。
柔術は鎧組み討ちを原型とする技法ですが、柳生流柔術(合気柔術)は剣術を原型とし、管理者武道(教育武道)として構成されているからです。
例えば、山本角義が武田惣角から伝授された「大力落し」という名の一本捕の秘伝技があります。これは一本捕の術理を使った簡単な技(効果は抜群)ですが、あくまでも柔術系の表技であるので、その裏技として構成されている柳生流柔術第1か条の修得者には通じない(最初から返し方を知っている)のです。
また、柔術系の第1か条はそれだけですが、柳生流柔術系の第1か条は序破急、返技、連携変化動作、固技への展開など、複雑な構成となっています。
もし、このようなことをすべて承知の上で、第1か条ではなく、第1教としたのであれば、命名者は優れた慧眼の持ち主である、といえます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?