秘伝技のこと(上)
久琢磨の皆伝の口伝によれば、大東流全体は、上・中・下(天人地)の三段階と陰陽(表裏)の二種で構成されています。
例えば、大東流三大技法がこれを象徴しています。地の巻:柔術、人の巻:合気柔術、天の巻:合気之術です。多人数取も上(立技五人捕)・中(座技五人捕)・下(半座五人捕)と三段階になっている、などです。
さて、今回は人の巻:合気柔術の秘伝技に関する鶴山先生のメモです。
なお、メモ中「時宗さんのところは1本だけである。」とありますが、この技法は柔術とは別系統の合気柔術「乾の巻」秘伝ですから、その全容を時宗氏は知らなかったので、当然のことでした。
また、「左右の練習は必要ない」ともありますが、これは、敵の攻撃が左右に関わらず、我は同じ捌き(技)で対応すればよい、という教えなのです。
武田時宗氏がよく写真発表しているものに、両手持小手返がある。どうやって両小手を捕らえるか、その後どうなるか判らないように配慮されている。また、演武大会でも一度も発表されたことがない。これは時宗さんの秘伝になっているからである。この技法は5本あるが、時宗さんのところは1本だけである。