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書評「いまさら聞けない 箸の持ち方 レッスン」(下)

引用部分では、「下の箸は動かず」すなわち箸の場合、下の箸を支える薬指を軸とし、上の箸を動かす中指だけが働いている。また「力がどこにも入っていない」すなわち全身抜力しなければならない。と説明しています。
普通のヒトは手指を使うとき軸の意識などおそらくないでしょう。しかし、指使い(実は中指骨)では、軸を意識して指を開く・曲げることが重要です。これによって微細な力による陽の合気が使えるのです。そのためには前述の全身の力を抜くことが重要です。身体のどこかに力が入っていると、手掌腱膜などによる微細な力を相手は感じることが出来なくなるからです。この稽古が、日常生活の中で出来る、というか、箸を正しく使えれば武術にもそのまま応用できる、ということなのです。

朝顔は形を見て真似することは簡単ですが、それでは本当の(使える)朝顔になりません。朝顔からの展開としていい手刀・万力手・猫之手いずれも口伝の極意ですから、同様です。この箸の持ち方・動かし方の説明はそのまま猫之手あるいは茶巾絞りの説明に通じるのです。しかも箸は手の延長として使われますから、手の形はそのままで得物に持ち替えれば(もちろん箸のままでも)武術の手の内として使えるのです。

ところで、同書(22頁)によると、手に合う箸は一咫半(ひとあたはん)で、これは「手を自然に開き、親指と人さし指の付け根を直角になるようにします。親指と人さし指の指先をつないだ距離を「一咫」と呼び、一咫を1.5倍した値が、手に合う最適な箸の長さとなります。」とあります。なお、咫というのは上代の長さの単位の一で、本来親指と中指とを広げた長さのことをいうとされていますが、上記の「人さし指の指先」とする説もあるとのことです。

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