武田時宗・宗家独占インタビューについて24
武田時宗『武田惣角見聞記』を読む2
(承前)ちょうど大東流に縁故の深い鶴山晃君をはじめ道縁の諸有志の企画で“大東流全集”の刊行準備中という話しを耳にしたので、時宗氏の見聞記を洩らされるのが惜しいと思って鶴山氏に尋ねたところ、時宗氏に見聞記をまとめるよう勧めたのは同君だということを知る始末となった。また、全集巻之1に収録する予定だという。
武道書のジャンルは大別すると、次の四つが眼にふれる。
①流派の道統、武道家の事跡、系譜を考証するもの。例えば、「武道史」「武芸流派辞典」等々
②武勇伝を主体にした稗史野乗(はいしゃじょう:正史に対する民間の歴史書)、巷談(軍記物)。今日の小説に当ろう。
③「××に強くなる本」式の初等程度の技術書
④精神面を強調した思想・道徳的なもの
以上であるが、私の体験からいうと①の文献考証学については、こう反省した。
「私はかつて、足利中期から昭和の今日に及ぶ数百人の武道家の伝記を調べてが、私は後悔した。これは一種の戸籍調査に過ぎなかった。綿密な考証のいかんに関わらず、武道の真実は武道家が千練万練している“型(かた・わざ)”とともに広く生活文化の研究においてでなければ到達し得ない、と痛感した」と…(続)
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