大東流の口伝18
そこで、朝顔関連の別の口伝が登場します。
「うずらの卵」です。なぜ握らないことが大事なのか・・・
まず、「秘伝」創刊号(1990年1月)にも掲載された逸話を同誌から引用する方法で紹介しましょう。
大東流合気拳法は久琢磨師の伝承だが、この口伝に「うずらの卵」というのがある。これは、合気拳法の形を行う時、うずらの卵を手の中に握って、相手に当身(口伝)を入れ、卵をつぶしてはいけない、というものである。この口伝を聞いて鶴山師範は、早速うずらの卵を買ってきて稽古で試した。結果は当てた瞬間、見事に卵は割れて、白身が相手の顔に飛び散ったという。何度行ってもダメなので、結局これはきっと物の例えなのだ、そういう気持ちで稽古しなさい、という意味なのだと判断したそうである。
鶴山先生は分かっていたハズですが、それでも実験により確認しています。他にも、演武会で真剣を用いた自由乱取りをしてみたり(この時は浅手を負って、腕が血だらけになったそうです。)、いろいろやられたようです。
ともかく、手は握り締めてはダメなのです。
この「うずらの卵」は中空握固拳ともいわれ、猫之手伝につながる(変化する)重要な口伝です。日本伝合気柔術においては、猫之手伝は口伝「旋手之事」にも関連した重要技法です。柔術と合気柔術に対する返技の基本術理となっているからです。なお、合気之術の返技の基本術理は別にあります。
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