技法真髄7
3肩
これは単に肩を掴むことは普通ぼんやりしている遊軍の肩を捕るのは用意なれど、戦闘開始の上で捕ることは至難である。そこで敵に目隠しを加えつつ左手又は右手で肩を捕る。
肩を捕られたる場合は、それに乗じ目隠しを打たれざるように左手で払いのけ、肩を捕られ敵が引いたら、それに乗じて右で面を打ち左でみぞおちを打って右後ろに倒す動作である。
この武術において特に注意を要することは、心と体及び力が全く一致して統一しなければならぬ、力は体と心の合致でこれらが共に働かねばならぬ。
もし敵が早く左手にて自分の肩を捕り、引き寄せながら頭上目がけて打ち込んで来た場合は、速やかに右拳をもって敵の面を打ち、左拳をもって敵の右手を払い、敵の右手首を両手にて掴み速やかに左足を前に進め体を転じて敵を後方に投げるべし(普通は左が陽で、右が陰であるが、動の場合は逆になる)。(続)
補足説明:鶴山先生のメモによると、大東流の肩取は鎧の肩びれ取りが原典であり、武田惣角が大正時代に入り対柔道の応用技法として普及したもの、とあります。
「みぞおちを打って右後ろに倒す動作」というのは、急所に当たれば容易に倒せるかも知れませんが、実際には難しい技です。注意点として、心・体・力の一致統一を要するとあるように、体の緩み・ブレがあると上手くいきません。体幹を板のように使えるか、一体化と分離を自在に使えるかがポイントです。肩取の技法もたくさんありますが、ここでは四方投が例示されています。