手順前後
ピピピーピピピー・・・調理用タイマーが鳴ったとき、ついついタイマーを先に止めてしまいます。
本来は、ガスを止め、火から外すなどを優先すべきだったと、後から気づくことを繰り返しています。
この例では、時間的に数秒もかからず手順前後の実害はないのですが、囲碁などでは、手順前後は敗着になりかねません。
武術では、先を急いだり、気をとられたりして、手順前後の捌きとなれば、もし実戦の場面だとすると致死傷に至ります。目先・耳先にとらわれず、回り道のようでも、手順を踏んだ着実な捌きが有効なのです。攻撃に対しては、体捌でまず避け、技に入るべきところ、先に手を出して技に入りながら、後で体をかわす、などありがちな手順前後です。
ところで、ヒトは頭がいいので、何でもショートカットしようとします。その気持ちがあるからこそ、科学技術が発展したというメリットは絶大ですが、こと体を動かす武術の捌きではデメリットが大きいと思います。特に、ひじの使い方など関節の動かす場面では、これをやると関節が本来有する機能(力)が発揮できません。そこで、筋力で足りない力を補ってしまい、結果力技になる、ということがよく起きます。これも広義の手順前後なのだと思います。