大東流の口伝24
これは、いわゆる「触れ合気」の初歩なのです。日本伝合気柔術では「手擦り系」の技法として整理されています。手すり落し・甲すり落し・生地すり落しなどで、背面から、前面から、側面から擦ることで相手を崩し倒す技法群です。最初はたくさん(長い距離)擦り、これを徐々に少なくしていき、最後は一見触れているだけで施技する、という稽古階梯です。
つまり「霞之事」とは、弱い刺激の大事を知り、感受性を高めよ、そして相手の頭の混乱を察知せよ、というのが奥の術理(統一理論)なのです。
次は、二刀之事です。二刀之事とは合気二刀剣のことを指します。既述のとおり両手使いと当身のことです。これについては、「合気二刀剣のこと」の連載で詳述しましたので、ご確認いただければ、と思います。二刀当身というのは、第3の力の原理を用いた異方向同時当て、で相手の「頭を混乱」させる技法であり、多段同時当、連続多段当を駆使するに必要な技法です。なお、多段当は二刀だけでなく、足も使います。これも一撃必殺を目的としていませんが、受手は大混乱で何が起きているのかわからない、という状況を作り出す秘伝です。
口伝5ヶ条に内在する統一理論、ご理解いただけたでしょうか。