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極意秘伝のはなし1

昭和42(1967)年3月25日発行の電電合気杖道会会報に中山清先生の寄稿が掲載されていましたので、引用紹介します。
連載の全容は不明ですが、手元にあるところだけでも参考になるかと思います。先生(当時60歳)の肩書きは、拓大附属 東洋鍼灸専門学校、東京高等鍼灸学校教師、大日本武徳会柔道範士八段、とあります。先生は、当身技の工夫研究が進んでいた楊心流系柔術(真之神道流柔術・天神真楊流柔術)を深く研究され、殺法としての当身部位と活法としての経穴の対応を整理するなどの研究もされています。
 
極意秘伝のはなし
武道修行の大本は、何をおいても正常な体でなければなりません。
なぜならば、この運動は発源体、すなわち五根(目・耳・鼻・口・舌)から静動が始まるのですから、この五根の感受性が強いか弱いかによって、身体動作が千変万化し、手随心転・法従手出の妙技を展開するからです。ですから、真の五体健全(外見上も勿論)が必要となってくる訳であります。しかし、五体の一・二が欠損しているにもかかわらず、武道の達人がまれに居りますが、これは今は論外として、説を進めることにいたします。
兵法に「陽位に居て、陰を陥(おと)す、陰位に居て、陽を陥す。」とありますが、これは私たちが日常自覚しないで、自然の動作の中で行っていることであります。すなわち、相手と対する時は、日光を背に受けて、相手の目を遮断すること。夜は低位に居て、高位を望見すること。昼夜の相違がこのように位置の構えを教えています。
また、通俗日用語に「怒髪天を衝く」「相模太郎肝甕(たんかめ)の如し(腹のすわった人物(北条時宗のこと))」「肝心要」「馬鹿の大食」「中風」等とありますが、これらの言葉の奥には、生理上の深い真理があることを思い起こして、武道に励む「たし」といたしましょう。

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