新陰流兵法目録事7
半開半向は、くねり太刀の形です。くねり太刀は「燕飛六箇之太刀」の燕飛で使われる陰流の勝ち口で、「二十七箇條截合」の1本目に括切(くくりぎり)として取り上げられています。流祖がこの勝ち口を括切としたのは、その名を秘すこと、紐をくくる際の両ひじの開きがくねり太刀(右ひじ)に似ているからだとされています。ここでも、くくる形とすることで両腕力を使えなくし、一体化した体幹を使い、重心の移動で相手を制する体術的な使い方を稽古します。また、てこの原理を巧みに用いて太刀をコントロールすることを学びます。
右旋左転は、左右の猿廻の形です。新陰流兵法の極意中の極意で、この形によって最もわかりやすい動きとして見せています。実は、猿廻は極意ではありますが、基礎技術としてほとんどの太刀に使われています。当然、勝ち口としても有効なもので、「二十七箇條截合」に右転・左転として、これまた名前を秘して採用されています。足捌き・腰捌き、両腕を封じた使い方、そして重心の移動です。なお、右の猿廻が示現流にも伝承されたが、誤伝(手捌き部分)されていたため、太刀の威力(押さえる力)がなくなっており、これを改良するため、一撃必殺で有名な蜻蛉の構えからの打ちが生まれた、と聞いています。