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大東流の口伝12

次に六法千鳥です。
これは、「腰捌きとは股関節回りの力の使い方のことです。」と既述しました。六法千鳥は、最大関節の使い方を口伝することで関節一般の使い方に留意せよ、と教えています。股関節や肩関節は可動範囲が大きいのでコントロールするには技術が必要です。これが分かれば、ひじ関節や手首、指関節など可動域が小さい関節の使い方(攻め方)も分かるということです。
詳述を避け要点だけ述べれば・・・、関節は曲がる方向にしか曲げられない、その方向に対しては強くかつ弱い、曲げ方(筋肉等の使い方)には手順がある・・・などでしょうか。関節の制御は柔術テクニックに区分されますが、頭でコントロールできない部分があることから「相手の頭を混乱させる」要素があるということになるのです。
 
これらを大東流の最重要口伝の一つとする理由がおわかりいただけたでしょうか。なお、江戸柳生系合気柔術の原典である新陰流兵法においても、巴卍・六法千鳥という言い方はありませんが同様の捌きは多用(一例をあげれば、奥義之太刀「無二剣」)されています。猿廻の本質を「非力の養成」として取り出し、勢法の運足・足捌きから巴脚・卍脚を抽出し口伝化した先人の慧眼には驚くほかありません。

さて、避ける動作の口伝には、既述の入身転身法(巴卍・六法千鳥)の他にも、旋手法(朝顔・うずらの卵・・・)陰陽虚実法(基軸・・・)などがありますが、ここでは次(=崩す動作)の口伝に進みます。

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