見出し画像

技法真髄13

4胸元取り
敵が胸元を持つと同時に、右手で面、左手で敵の左腕を打ち深く左足を敵前方に踏み込み左肩で押し気味に前方へ倒す。
胸元を取られるのは槍で突いてくるか、また剣を青眼に構えて突いてくるのと同じ道理である。胸を取って引くのと突くとのがある。
第一に胸を胸元を敵に持たすということは、敵の心をこちらに引き寄せることで敵を導いておいて体をかわす、突いてきたときには敵の突く気持ちを利用して、左足を引いて体をかわし左後方に投げる。また胸元を持って引くときは、引かすべく掴ませて、その引くにまかせて進み前方に倒す。胸元に敵の注意力を集めさせ引くという虚に乗じて倒す。
戦争の場合であれば斥候兵を本隊の如く見せかけその方面に敵の主力を導き、側面及び背後から奇襲する。胸元が斥候兵である。
斥候で敵兵を誘い、側面及び背後から素早く奇襲して、敵の防備のいとまなからしむる。これが古来の戦法である。ゆえに稽古の場合引かすべく胸元を持たせ、同時に敵に体の変更をさせる隙を与えず右でで面を打ち、左で腕を叩いて倒す、しかし、ついには持たせずして敵の「胸元を取る」という心を知り自分の心で持たせてこちらへ敵を誘い投げるようになる。(4胸元取りの項 終り)

いいなと思ったら応援しよう!