武道の極意・秘伝集21
10打込みとは他流には余り無きことにて、実に剣術の上達を望む者、この打込みの技を欠きては、達者の場に至ることはなはだし。故に当流初心の者には、1か年余りも打込み計りの稽古にて、試合を禁じせしものなり。その後弘化年間(1840年代半ば)のころは、最初の1か年程は、組形の前後に打込みをなすこと計り、稽古する事となせしも、寒稽古30日間は、毎朝3時より夜明けまでは、達者・未熟によらず打込み計り夜明けてより正午までを組形の修行となせり。
補足説明:新陰流兵法では、打込み稽古というものはやりません。長岡房成著の「試合勢法」序文によれば、子ども用に表木(ひょうぼく=地面に打ち立てた木に藁を巻いたもの)打ちという、いわゆる対物打込み稽古法があったようですが、今ではやっていないと思います。
また、柳生厳長の口伝によると、一打一足を楷書的に稽古させる、幼児(6~12歳)のための基礎教習法(いわゆる英才教育)があります。これは3つのレベルからなり、太刀打ちの期→小手打ちの期→相懸りの期と分けられ、それぞれ打ちに特化した稽古法が伝えられています。その一部は大人の初学者にも役立つものです。
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