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四方投の由来

大東流と密教の関係についての鶴山先生のメモです。先生の説明は明快ですが、それでもイメージしにくいので両界曼荼羅図など検索され参照することをお勧めします。筆者もそのようにして確認しました。

大東流三大技法の全体系については、中国拳法内家拳の基本理念が「太極」であるのと同じく、その基本理念は「曼荼羅」の世界なのである。大東流のバックボーンは密教の経典である「大日経」と同じなのである。
胎蔵曼荼羅(たいぞうまんだら)は、7世紀後半西インドで成立したといわれている真言密教の経典「大日経」を基にしている。胎蔵世界を描く曼荼羅を日本に持ち帰った人は、高野山の開祖で後に真言宗を広めた空海(弘法大師)であった。この曼荼羅の世界は壮大な宇宙を表している。
この曼荼羅図は、宇宙の真理をあらわす大日如来を中央に、八葉(東西南北とその間)に開いている。すなわち、中台八葉院(ちゅうだいはちよういん=胎蔵曼荼羅の中央に位置する区画)には、四如来と 四菩薩が描かれており、これが大東流技法の特徴である四方八方の図である。その上下左右には、宝幢(ほうどう)、開敷華王(かいふけおう)、無量寿(むりょうじゅ)、天鼓雷音(てんくらいおん)の四如来、その間の四葉には、普賢(ふげん:理法や修行を現す仏)、文殊(もんじゅ:智恵を司る仏)、観自在(かんじざい=観世音(観音):大慈大悲に富苦悩を除く仏)、弥勒(みろく:未来に出現し衆生を救う仏)の四菩薩がある。この八体で大東流でいう四方八方十六方に通ずるものになる。
真言密教では、「これら八尊は、多数に分化した仏教の諸尊の代表としてその中心にある大日如来をとりまいている。」とされ、これを大東流の多敵之位では、四方八方十六方の敵に対し中心は自分=大日如来=自己は善であるとするのである。
また、大日如来を中心として、八葉に開いている八葉蓮華の上には、如来の智を示す遍智院、その上には如来の根源を示す釈迦院があり、さらにその上方に文殊院があり、文殊菩薩の展開を示している。このように曼荼羅図が示す密教とは仏と人が一体になることを示している。大東流の四方投もその技法展開である、四方八方への技とそれぞれの方角の先の変化は曼荼羅図を示しているのである。
ところで、曼荼羅は、梵語(サンスクリット語)の「マンダ(本質)」と「ラ(成就)」の合成語であり、この音に漢字の曼荼羅を当てたものである。この曼荼羅には、金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅の2種類があり両界曼荼羅と呼ばれ、大東流には陰陽の2種類の技に分かれるが同じ考えである。


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