大東流の口伝1
口伝とは、師が弟子に奥義などの秘密を口づたえで授けることです。口伝といっても、実際には、備忘のため書伝されることが多く、そのお陰で今日まで残っている口伝も多くあります。
大東流には口伝がたくさんあります。今回から、これらのうち代表的なものを紹介していきます。
大東流の口伝を紹介する前に、ちょっと寄り道、新陰流兵法の口伝について紹介します。
寛永14(1637)年、柳生十兵衛三厳は無題の兵法書をとりまとめ父宗矩に差し出しました。捧げられた宗矩は、全部焼却すべしと一蹴しました。十兵衛は沢庵和尚の校閲加筆を得て再度提出し、宗矩の印可を受けたといういわく付きの一書です。石舟斎以来、「兵法家伝書」に至る230余に上る口伝を18の項目に簡潔に整理したことから、出すぎた真似と宗矩の逆鱗に触れた、と言われています。この書は「昔飛衛といふ者あり」と始まることから、「飛衛(ひえい)」呼ばれています。
十兵衛は新陰流兵法の口伝について「数々の口伝をよせて三段となし」として見・機・躰の3つに要約しています。
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