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旦那芸考(下)

さて、旦那芸といえば、今年(昭和60(1985)年)の3月日本武道館で武田時宗氏の出し物である。10人相手もので、佐川氏のものを真似た「体を持ち上げさせ、気合で極める」技だが、これは武田惣角のものではない。エイッ、エイッと丁度野球の優勝チームの胴上げを数回行ってから、ヤーと気合をかけ両手を広げただけで、会場の爆笑の渦が沸いた。大東流にミソを付けたようなものだ。この技は、近藤が提案したものに違いない。時宗氏のことだから知らないといえないので、北海道で研究した結果、このような無様なものになったものと思われる。某氏が2月に時宗氏宅に寄ったとき、もう10日も毎日練習している、演武大会の練習なので見せられないとのこと。(時宗氏の)病気後の調整ということもあったようだが、見せられないというほどの内容でない。
堀川氏のものといえば、武田惣角三十周忌のとき見せた10人掛け、北一記氏が後で飛び跳ねた。山本角義氏が「あれは、いけない」と言ったことが思い出される。また、電電に呼んだときに見せた杖技法の不動金縛りなど形が極まっていなかった。しかし、堀川氏の手捌(杖の掴み方)技は参考になった。
最後に植芝盛平のものだが、これは私しか研究していないようである。手のひらの舞の如く、両手を斜め上に伸し捌く技を一部でやっているようだが、そこまでで終わっている。


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