どこに基準をおくべきか(続)
音楽はテンポを保たなければなりません。例えば、4ビート→8ビート→16ビートと展開する中で、どのビートを基準にして違うビートを感じるか・維持するかは、いろいろあるけれど、基準とするなら少ない・シンプルな方がよい、と聞きました。この例なら、4ビートを基準に裏を入れた8ビートを感じ・・・ということです。
「基軸之事」という口伝について、で自分の中・相手の中・自分と相手の中間の軸をお示しし、どこに基準を置くかは自由と書きました。
まずは、コントロールし易い自分の中の軸に基準を置くことから始めるべきだと思います。自分の中の軸意識を確立しないで、相手の中の軸や、まして空間の軸を意識することは難しいからです。もちろん、難しい方に基準を置くというアプローチもありでしょうが、凡人には労多くして功少なしになりかねないので、避けた方が無難かと思います。
さて、武術の形は見かけ上単純そうでも、かなり複雑な体の使い方をします。一連の動きを止めてはいけないけれど、一番簡単なところに自分なりの基準を置いて、動きを考えコントロールする、お勧めの稽古方法です。
この基準の置き方、少し一般化すると視点を変えることと似ています。自分の立ち位置(立場)を基準として、そこから見える景色(判断の材料)と、違う立ち位置を基準として、そこから見える景色は、違ったものになります。互いに自分の立ち位置からの主張では相容れなくても、相手の視点や第三者の視点に立ってみると、違う何か、解決方法だったり、落としどころだったり、が見えてくるかも知れません。