大東流の三大技法(続)21
一方、乾之巻は返技が中核技法です。返技とは、相手に技を掛けられた場合に、これに応ずる変化動作のことです。掛けられた技を外し、又は返して「先」をとり投技や捕技を仕掛けるのです。
返技は中伝・奥伝技法ですから、初伝技法が完全に身についていることが前提で、総仕上げとともに兵法の教訓を体得する過程となります。
さて、正確な技を掛けられると、返技は掛かりません。言い換えれば、技を掛ける際は、常に「実」でないといけません。緩急のリズムをもって常に「先」を取ることが大事なのです。ところが、実際には「実」を維持することは難しく「虚(スキ)」が生じます、また、なれ合い・怠慢な稽古は互いのためになりません。こうしたことをチェックするための技法が返技なのです。返技を稽古することにより、基本技(一般技(1~4か条)・基礎技(四方投・小手返・回転投・入身投)・合気投)の術理を再確認し、より深い理解が得られるのです。
また、返技は御信用之手の機能を有し合気道技法を破る技と技法を教えています。技を表(初伝技法)から習い裏(返技)を知ることで、その全容が理解できるという構成なのです。