大東流の三大技法(続)4
このように大東流柔術はこれをマスターしていれば、指導に困ることはなかったのです。大東流諸流派の中には柔術技法の一部を合気柔術として技法展開しているところも多くあります。
さて、ここで合気柔術という名称が出てきました。大東流柔術と大東流合気柔術はどう違うのか?大東流修行者や研究者を悩ませる問題です。この合気柔術は三大技法でいう人之巻合気柔術(江戸柳生系合気柔術)とは違うのです。それには、柔術の構成を知る必要があります。
大東流の全体系から見ると初伝技法である柔術は、118本総称して大東流柔術と呼びますが、正確には、第1~2か条が柔術、第3か条以降は合気柔術なのです。また、第1~2か条を簡易化したもの、第3か条以降を簡易化したもの、これらも合気柔術と呼ぶことから、全容を把握していない人からすると訳が判りません。しかも、柔術を簡易化した合気柔術と江戸柳生系合気柔の技法の中にはよく似たものもあります。鶴山先生のメモにも「堀川幸道の技と久琢磨の技にはそっくりなものがある、よく検討する必要がある」とあります。簡単に整理すると、柔術系の合気柔術は“陽の合気”を使い、江戸柳生系合気柔術では“陰の合気”から入るという事なのです。外見上は“陰陽”どちらの合気を使っているのかはほぼ見えません。ただ、陽の合気を極めると、相手はその力に大きく反応するので、非常に象徴的な技になります。今風に言えば“映像映え”する技法となります。