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極意秘伝のはなし8
心(心臓)は君主の官にして神明(精神状態)に厥(体内における陰陽の不均衡)出ず、として小腸と機能を相対されているとされています。心は血液を全身に送り、小腸は栄養を吸収して血液の源を作る。心を象形して火とし、火星の赤と相応じているのであります。
肺は心を助けて血液の浄化作用を行い、いわゆる吸酸除炭の働きをするので、大腸の排泄作用と相対的となり、天体の金星で象徴されています。
このように五臓を天体の木星(肝)・火星(心)・土星(胃)・金星(肺)・水星(腎)で表現しています。そしてその正常な動きと、逆転の動きについて柳生心眼流表奥之伝に次のように記してあります。
それ、五行の相生とは、すなわち、木は火を生じ、土は金を参じ、金は水を参じ、水は木を生む等、五めぐるなり、また相剋というは、木は土を崩す、土は水を濁らし、水は火を消す、火は金を溶かし、金は木を伐(き)る等の類いなり。
しこうして、相生の理たるや、木は東方に位す、春を主(つかさ)どる故に、草木は春に至って発生繁茂す。木気さかんにして、土を生ず。火は南方に位して、夏を主どる。ゆえに炎天極暑す。既に火気さかんにして、土を生ず、土は中央に位して四季に応ず。それゆえに如何となれば、万物は土より生じて、また土に帰ればなり。ゆえに土用は、春夏秋冬始終移りて、界におる。すでに土気さかんにして金を生ず。金は西方に位して、秋を主どる。その気よく物を殺伐す。ゆえに草木は秋風に逢うて黄ばみ落ち、既に金気さかんにして、水を生ず、水は北方に位して、冬を主どる。ゆえに冬候寒冷になり、既に水気さかんにして、木を生ず。此の如く五気相生じて息す。例えば、玉の如く行き止まることなし。ゆえに五行と号づく、五行相剋とあるものは、いわゆる逆にして、四時の序に悖(もと)る、ゆえに凶とす。これをもって五行・相剋を察して、その理を明らかにすること肝要なり。可秘可秘
和漢三才図会(正徳3(1713)年)に、五行と自然現象及び衣食住の住居と対照して、次の如く表示しています。
頭- 天 -棟(屋根の頂部)
足- 地 -礎
骨- 石 -柱
肉- 土 -壁
筋-道路-纒縄(まといなわ)
毛髪-草木-甍(いらか=屋根にふいた棟瓦(むながわら))
両眼-日月-窓
口 - 門
血-海水-井水
息 -風
二便-両便
汗 -露
三焦-廊濇(ろうしゅう)
膀胱-水溝
命門-庖厨(ほうちゅう=台所)
脾胃-米穀
心 -主人
右よく治まりて、過不足なきは、家斎ひ(いわい)財足るなり」と説いています。