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柳生流柔術(下)

ところで、四方投の固め(極め)には7か条ある。

第1か条 四方投で必ず右足を引いて下に落とす。ここが植芝合気道と違う
     点である。ただ投げるのであれば、足を踏み出すか、そのままだ
     が、大東流では必ず足を引く(御信用之手でもある)。相手の手
     首を使って極める。
第2か条 1か条+1手 右足を使って1か条の極めを強化する。
第3か条 2か条+1手 相手の手首にひねりを加える。
第4か条 3か条+1手 手首を手羽取の如く引き上げる。
第5か条 右ひざを腰に当て、手首を解き、反らせる。
第6か条 5か条+1手 足を取りエビ反りに極める。
第7か条 5か条を解き、馬乗りになり両足を反らせる。

第5~7か条は、健康体操である。足腰の後ろへの反らしは、下半身の疲労を解消する効果がある。股関節のエビ反り、大腿四頭筋の伸展が無理なく出来るからである。下半身疲労には腰に座り、胃もたれなどの不快感解消には尻に座って、片足ずつ、次に両足と反らせるのである。これは、水戸家や会津で行われていたヨギの技法が入った家老の健康法なのである。

これを秘伝としたのは、青年将校に知られるとみっともない、また、馬鹿にされる恐れがあることからである。秘伝技とすることで、畏敬感やあこがれをいだかせる、という効果もある。見世物としての旦那芸とは本質的に違っているのである。

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