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武道の極意・秘伝集9

「合(あわせ)」合気道より
相手の動作に付いて、離れずに相手を敗北に導くのである。これを合気道では「合わせ」という。これについては、植芝盛平先生の適切な秘話がある。昭和13年ごろ先生の道場は時局を反映して、荒木貞夫大将を始めとする軍人など世をあげて入門し、盛大なものだった。ある日道場に、24貫(90kg)にあまる柔道四段の若者が見学に来て、飛び入り稽古を願ったのであった。若者は得意の跳ね腰で一本取ろうと立ち向かったのであるが、一瞬にして2間も上に舞い上がったのは、先生でなく若者であった。これが合気の神髄と言うべきもので、いわゆる「合」の極意である。

補足説明:これは、皇武館道場時代の逸話です。当時植芝盛平は50代半ばの充実した時期、皇武館には柔剣道の猛者が入門したのでした。怪力で有名な湯川勉や彼の柔道教師であった星哲臣(皇武術創始者)などがいました。「合(あわせ)」というのは、いわゆる「合気」のことで、相手と一体化=つながる技術、またその状態のことです。「合気」が掛かった状態になれば、双方の体重差・力の差は関係なくなりますから、逸話のように重たく力のある相手でも飛ばされてしまうのです。

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