合気柔術の技法3
殿様の子どもや家老の子ども達は、殿中の躾教育として居捕を序破急の三段階で習う。まず、正しい姿勢=正しい正座から入り、これを崩すことを学ぶのである。
この前提として・・・武士は、殿中では正座して殿様を大広間で待っていなければならない。背筋を伸し、あごを引く、両手は腰に置き、ベタ足(正座)でよい。
「正しい正座」とは・・・手を取られ引かれても崩れない正座のこと
「これを崩す」とは・・・大東流の「目潰し」を用いる、これは秘伝技
である。
足軽武芸には「目潰(めつぶ)し」はない。あるのは当身である。これは正攻法であって、柔道や剣道と同様に正々堂々と勝負する、という発想である。「目潰し」は大きくは当身の範疇に入るが、性格が異なる、相手の神経を幻惑すること(当たらなくてもよい)が目的だからである。一般人(町人や農民等)は、柔術の当身すら知らない、当身なしで直接、侍の刀を抜かせないように右腕を掴むのが普通である。
裏拳(又は指先)で「目潰し」を入れる技法は、大東流以外の古流武術にはない方法である。大東流が最初から秘伝大東流と称するのは、この「目潰し」にあるのだ。このことには別の意味もある。足軽武芸では気合を大切にする。気合のない武術などありえない、柔道・剣道・空手もこの気合武芸の流れを汲んでいる。これに反し、江戸柳生系合気柔術は気合を重視しない。