継承問題(続)
組織や団体を誰が引き継ぐか、昔からある難しい問題です。後継者には実力と正統性が必要ですから。
そこで、昔から世襲制で後継者を決める方法がとられてきました。世襲ですから若くして、つまり本人の実力が未知数のうちに後継者となることもあるわけです。実力よりも正統性を重視したのです。誰しもとりあえずは納得できる唯一の方法です。非合理的ではあるけれど。
ただ、子どもがいないなど世襲が難しい場合は大変です。なら、実力で選べばいい、と思いますね。ところが、この実力がなかなか難しい。一見、合理的ですが。
武術の団体なら試合で決めるか、といっても無理ですよね。ほかの芸事では何をもって実力とするか構成員みんなが認める基準はなかなか作れないでしょう。
高弟が数人いて、ある一人を実力があるという理由で選んでも、他の者は納得しないでしょう、それぞれに得意分野や自信を持つところがあるから、みんな我こそはと思ってしまう。自分と同格だ、と思っている者が上に行く、感情的に受け入れ難いことです。
実力主義というのは存外に難しいのです。やはり、実力の他にみんなを納得させる正統性が必要となります。一番いいのは後継者の指名です現代表者が指名、それも早いうちにしておけば混乱は少ないハズです。
さて、鶴山先生が急逝された際、高弟が集まって今後の道統護持について協議したそうですが、そこで後継者を決めることはできず、それぞれが独自の道を歩むこととなり、総合武術合気会は事実上、分裂解散したのでした。残念なことでしたが、継承問題の難しさを思い知らされた一件です。