![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83253087/rectangle_large_type_2_947d1a5e0e0cc40694675452909f903e.jpeg?width=1200)
極意秘伝のはなし19
(承前)そうであるのに、所作をして、動き働きをすると、その技に連れて、左右にかたより、平生の気を損じてしまう。こういうことがあるので、当流が秘して教えるのは、自分が方寸(胸(心臓)の中)の元気を養い、ものに心を留めず、その基となるところを堅固に守れば、技を掛けようとして色々動いても、根本の元気は立ち座って、正しいがために、用いる気は自由自在になり、左に力を入れても、右の力が抜けることはなく、右を使っても、左がおろそかになることはない。前後も同じである。起居動静とも常遍の平気となる。これがすなわち、天之巻でいうところの不動智である。負けないための備えがあれば、勝つべきはかりごとある。また、聖言に克己ともいう。己に勝って体が正しいときは、千万人にも勝ちの理があるのである。
補足説明:無拍子之事にある「浮き立つ拍子」とは、自分が不安定になって(卍脚・巴脚)施技することを言っている、と思います。「勝利を得ることはたくさんあるけれど、危ないことであって」とは、この技法は互いに不安定になっているので、「早い者勝ち・上手いも勝ち」の世界だから、このように評したのだと思います。一般的に、ヒトは、体をバラバラに使うことは苦手です。何かをしようとすると全身をそのことに集中(連動)させるように使って来たからです。例えば、右手を固定し、左手だけを動かすといった体の使い方は難しいのです。