見出し画像

槍と合気道11

その2
かく観じて将来をおもんばかりますと、今や世の中、薬剤不足、医師招致の高価、敗戦日本国民の負担として、いやが上にも増加せんとするこの時代において、無薬無刀よく、疾病に抵抗できる実策は、大自然の妙力をして人間心身の修養と保健とに極度に利用したものは、この“合気道”より他にないと思惟(しゆい=考える)せらるものでありますから、今後の計画として、広く同志を募り、出来得れば全国民をして、無病息災の心身を獲得せしめて、転渦為福の実をあげようとする念願であります。(中略)
合気道は頭書に述べたとおりその意義は深長宏遠でありまして、これを拡大すれば社会万般の実相に連なり、無限にして果てしがないのであります。ただその実体を把握するには、その道に没入して実践躬行するより外に方法がないのであります。
 
以上のように、文部省体育局長あてに提出された「合気道」の定義は「各種の運動競技、農事、演劇、舞踏、その他各種の技芸動作全般にわたる、一種の舞楽道と健康道とを兼ね備えた遊技ともなり、体育でもある」ということであった。なお、農事とあるのは、植芝盛平先生は太平洋戦争末期に茨城県岩間に疎開、当時の食糧事情から農耕に従事し、その傍ら合気柔術の鍛錬をすることを“武産合気”と称していたことによるものである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?