武田時宗・宗家独占インタビューについて30
「武田惣角の門人の久琢磨氏から教えて貰って、自分で日本伝合気柔術を出した、その跡取りだなんて言っていますね。皆金儲け主義からです。」
この文章のニュアンスは、時宗氏が大東流の第一人者であるかのような意図を感じますが…久琢磨は皆伝者であって、note既述のとおり時宗氏の知らない技法・口伝を知っていました。鶴山先生が日本伝合気柔術を出して、その跡取りと言っている、とありますが、皆伝者の久琢磨が他の大東流諸会派と区分するため、大東流技法を綜合した固有名称として日本伝合気柔術(大東流三大技法)と命名し、三代目宗家(西郷頼母-武田惣角に次ぐ)を名乗ったのです。そして「朝日カルチャーセンター合気道講座」において「日本伝合気柔術宗家 久琢磨」として免状を発行しています。この経緯には、鶴山先生の思惑もあったでしょうが、形の上では自分で出した(作った)ことにはなりません。このあたり、「蒔田完一氏『護身杖道』に意見する」でも補足説明したとおりです。
鶴山先生の武道に対するお金の掛け方は浪費とも言われるほど糸目をつけないものでした。ボーナスなどすべて研究(資料購入・交通費・指導謝礼等)に充てていたと聞きます。一方、自らの指導で多額の受講料・謝礼を受け取ってはいませんでした。いわゆる1本いくらなどという指導はしていません。金儲け主義から日本伝合気柔術宗家を引き継いだという指摘は当たりません。
「武道家も嘘をつくようになると駄目ですね。宗家がたくさん出てきたね(笑い)。」
「時宗氏の発言」に関しての反証は、既述のとおりです。嘘をついているのはどちらか、は明快でしょう。ただ、この発言に関しては、宗家・近藤宗家代理・合気ニュース編集者の3者がからんでいることから、どのような経緯によってこのような虚偽記載がなされ、鶴山先生の評判を貶めようとしたのかは、不明です。先生没後の中傷記事の中の一つであった、ということです。
宗家問題については「蒔田完一氏『護身杖道』に意見する」で補足説明したとおりです。(完)
最後に、当該インタビュー記事を再掲しておきます。
「合気ニュース:鶴山という先生が『合気道』という本をずいぶん前に出しましたが、鶴山先生は、どの程度まで大東流にかかわっておられたのですか。
武田:最初は植芝道場で稽古していましたが、短い間でしたけど網走に来たのです。写真もあります。本が出た時に送られてきましたけど、わざを自分であみだしたように言ってますね。あまり交流はありませんでした。1か条などの初心技はある程度教えましたよ。武田惣角の門人の久琢磨氏から教えて貰って、自分で日本伝合気柔術を出した、その跡取りだなんて言っていますね。皆金儲け主義からです。武道家も嘘をつくようになると駄目ですね。宗家がたくさん出てきたね(笑い)。」