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大東流基礎理論-合気之術(上)

大東流には小野派系柔術と江戸柳生系合気柔術の二系統があります。では、大東流三大技法のもう一つ合気之術は…、というと当然江戸柳生系に属します。戦術と戦略の視点からこれらについて論評している鶴山先生のメモを紹介します。

江戸城中、老中の必修科目は戦略論であった。江戸柳生でいえば、兵法家伝書の活人剣に当たり、いわば心法である。戦略論の中で、人間学、組織論、政略などを学ぶ座学である。大東流技法は戦術と戦略で区分できるが、技法としてこれらを体得させるよう構成されている。
ところで、戦国大名には「六韜三略(りくとうさんりゃく)」が最高の兵学書であった。源義経が鞍馬山中で修行中に鬼一法眼からこれを授けられた(義経が密かに写したとの説もある)と伝えられて以来、六韜三略は戦国大名の必勝法の秘伝書とされてきた。武田信玄、上杉謙信、毛利元就もこれを学び、豊臣秀吉は竹中半兵衛の講義を聴き、徳川家康も調べていた。
この六韜三略は、例の真っ直ぐな針で悠々と魚を釣っていたという太公望呂尚が周の武王の質問に答えて兵法の奥儀を語っていくように書かれている。1書目、六韜とは、文韜・武韜・龍韜・虎韜・豹韜・犬韜の六つに分けて編述されている。韜は弓を入れる皮袋の意である。世に言う虎の巻というのは、虎韜(ことう)編からきている。2書目の三略は、計略を上略・中略・下略の三つに分けて説いている。

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