武術の稽古方法-宮本武蔵と新陰流兵法-4
すなわち、石舟斎の時代は、入門(起請文提出)→天狗抄→天狗抄奥→目録→皆伝という階梯だったのです。なお、流祖から厳長(尾張柳生家第12代(昭和42年12月没))の代までは、目録位は書面で伝授される最初の伝位でした。流祖時代の目録は今の内伝に相当し、目録位伝授をもって門人の取り立てと伝位伝授権が授与されたようです。
新陰流兵法では、伝位によって履修する勢法が決まっており、その履修目標も明確に区分されています。これがあることから「法(型)に依って、法(型)を説く」ことが出来るのです。
その内容を少し紹介すると・・・
初級:雷刀を中心に勢法の手順を覚える
表:手の内と身勢の重要性を知る
大転:身勢の鍛錬、太刀の使い方を体にしみこませる(体を練る)
小転:太刀筋を練る、西江水の鍛錬
天狗抄:体を使った(腕力ではない)太刀使いを覚える
天狗抄奥:拍子・調子の重要性を理解する
目録:新陰流兵法の原典と体術の関連性を理解し、全容を把握する
という感じです。
また、勢法の意義についても、古来から簡潔にまとめられています。
燕飛:変化して勝つ要諦を教える勢法
三学円之太刀:手と足と太刀の働きを専務とし、待って敵の懸かるところ
を勝つ勢法。構えをして保を専らとする。本の勝ち
九箇之太刀:構えをしている敵に対し、こちらも構え先を仕掛けて変化に
したがって勝つ勢法。出口の勝ち
天狗抄:待に構えた敵に対し、こちらより仕掛け表裏をもって破る勢法
奥義之太刀:相手の真似をする勢法
二十七箇条斬相:勝口を集めたもの。新陰流の極意