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沢庵和尚8

『天地には正気があり、混然として形を持たず(この世界に)ある。
下に行けば河や山岳となり、上に行けば日星になる。
人の中にあっては、孟子の言うところの「浩然」と呼ばれ、見る見る広がって大空いっぱいに満ちる。』
正気(せいき:森羅万象の根本たる氣)天地一杯のことじゃ!禅の境じゃ!

『皇路清夷に当たりては、和を含んで明庭に吐く』これは泰平の御代ならば和順して政(まつりごと)をなす(立派な朝廷となる)じゃ!   しかし、
『時窮すれば節、すなわち見れ、一一丹青に垂る』時代が行き詰ると節々となって世に現れ、一つひとつ歴史書(丹青)に記される。天祥は12人の忠臣をあげているが、すべてこれ不惜身命(ふしゃくしんみょう=自分の身をかえりみない)の哲人ばかりじゃ!  そこで
『逆豎(ぎゃくじゅ)の頭は破裂す』まことに逆臣の運命も定めるわけじゃ
『その日月を貫くに当たりては、生死安くんぞ論ずるに足らん』誠忠くらい強力なものはない。

『陰陽も賊(そこなう)ことあたわず。顧てこの耿耿(こうこう)在り、仰ぎ視て浮雲白ければなり。悠悠として我が心は悲しむ、蒼天、なんぞ窮み有らん。哲人、日に己に遠く、典刑(守るべき規範)は夙(しゅく=古い)昔に在り。』つまりお手本はすでに往昔、立派に残されているのじゃ!

『風檐(ふうえん=風吹く軒)に書を展(ひろ)げて読めば、古の道、顏色を照らす。』わしはこの『正気の詩』をそらんじてしまったほど、いわゆる正気を渇仰する。これすなわち本来の面目である。」

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