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大東流合氣武道3
(承前)なお、大東亜戦争開戦以来、防空灯火管制下の暗夜において、ともすれば危険にさらされんとする婦女子のため、本流中護身術として婦女子に適当なる技を選び『女子武道』として出版し、広く女子指導に当たられる方面に配布したが、今回またアサヒスポーツの懇願により、ここに紙上紹介を試みることになった。しかし、元来武道は師範の厳格なる薫陶のもとに鍛錬され、これが極意は不知不誠の間に伝授されるのであって、書き物や口伝によって伝えることは誠に困難である。特に紙上紹介で十分理解せらることは至難中の至難であるが、現代においてもかくのごとき必勝必殺の活きた武道のあることを認識され、またこれによりわずかでも本部道を研究の契機とならば幸甚である。(完)
補足説明:『女子武道』は昭和17年2月に発行されました。序文「神武の精神」から発行趣旨を抜粋紹介します。
「余は一昨年紀元2600年(昭和15(1940)年)記念として『惟神の武道』更に昨年7月『捕技秘傳』と題して本流の一部を出版、非常時日本の朝野に紹介せるが、今又各方面より熱烈なる御希望の次第もあり。ことに陸軍中将吉住良輔閣下の熱情あふるる御激励と御鞭撻を得、浅学非才技量未熟をも顧みず『女子武道』と題してあえて本冊子を発行せる次第であるが、(中略)本誌が多少なりとも皇国婦人の信念を練り、婦徳を磨く、よすがともならば、望外の幸せである。」(続)