大東流と無刀取り12
さて、この杖の基本型では、杖と体の一体化、連れて動くこと、体幹部を板のように使うこと、軸(ひざ下直角)を意識することを学び、組形によって、間合を体得、気勢や呼吸の機微を知るすなわち相手との間にある無形無体の気の変化を知ること、を学ぶのです。なお、江戸柳生系合気柔術の基本姿勢は真っ直ぐにすらっと立つものです。
既述の「杖の単独操練→相対動作(杖対杖)」を通じて姿勢作りを行い、「組形(杖対太刀)」の稽古で主に間合を習得します。次に、長い杖から、短い得物に持ち替え入身転身法を稽古します。特に女性用の懐剣術はその独特な持ち方から素手と同様であり、懐剣術をマスターするにはこの杖対太刀の基本組形が必須なのです。また、年を取って杖(つえ)を頼りに歩くようになると、突然の剣難に遭遇しても容易に抜刀など出来ませんから、まず、杖で捌き、機を見て抜刀するのです。兵法家伝書には、「刀を持たず、竹の杖をついて歩くとき、長い刀で斬りかかられても、竹杖であしらって、刀を奪うか、奪えなくても相手を押さえて斬られなければ勝ちである。」とありました。