江戸柳生系合気柔術-江戸柳生の躰之術-2
江戸柳生系合気柔術の特色は「陰陽虚実表裏一体」が具現化された躰之術となっていることである。つまり宗矩がいう「無刀取り」は殿中(江戸城内)における健康法とも言えるのである。
老中は40歳以上が平均年齢であった。仕事は、現代に例えれば高裁の裁判官というところである。裁判官ということは、学友や幼なじみなどとは付き合ってはいけないのである。人間であるから人情や情実が入る可能性があり正義の判定が出来なくなるからである。判決はすべて朱子学に則った判定が必要で幾つものチェックシステムがあった。将軍までの道は、老中から大廊下御三家に行き、将軍の裁定を受ける。老中は目付を使い情報を集める、また必要に応じてお抱えの学者(林大学頭などの顧問)のアドバイスも受けて判断する。ともかく、老中や若年寄は徳川武士の中では一番の頭脳労働者であったのだ。さらに老中になると個室があり、個室の中でのナーバスを克服する強い精神力が必要とされる。現代の役所や企業の幹部と同じである。そこで、いろいろなストレスにさらされるため、殿中躰術によって首・肩・背中を軟らかくするのである。
初伝:表裏一般技法である。(合気道技法の表裏のこと)