筋肉を使う
稽古では、よく力を抜くよう指導されます。指導者からこのように注意されて「なぜ力を抜かなければならないのですか? 力を抜いてしまったら、何もできないではないですか?」などと、ツッコミを入れる勇気のある方は少ないでしょう。もう少し説明してくれる指導者なら、「力んでいるとスムーズに動けないし、技が上手く掛からない」と言ってくれるでしょう。
このアドバイスは正しいのですが、これだけでは不十分なのです。例えば、手首を掴まれたとして、腕に力を入れて捌こうとしても単なる力比べになってしまい、技の稽古にはなりません。このようなわかりやすい場合なら、確かに腕の力を使うのは得策でないことはすぐ理解できますが、ではどうすればよいか、言い換えればどこの筋肉を中心に仕事をすればよいか、を教えてもらえないと動けない、としたものです。体(筋力)の使い方はいろいろありますから、どの部位を意識して、どのように出力するか、そして、体を熱や電気をよく通す導体のようにして力を通す体にするにはどうすればよいか?など稽古上の課題はたくさんあります。
素肌どうし、得物を通じてなど接触系の技法では、筋肉の使い方コントロールの仕方は重要なテーマです。特にいわゆる触れ合気系の技法には部位を意識した強力な筋肉使い(靭帯や腱を含む)が不可欠です。正しい筋肉の使い方、これも一般の人は親からも他の誰かからも教わりませんから、我流になりがちです。筋肉は、ちゃんと使うと存外な力を発揮できるものです。研究されてみてはいかがでしょう。