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感性にしたがう

歌唱においては、基準となる音を聞き、そして自分の声を、特に直前の声をよく聞くことが大事、記憶の中にある音を探しに行ってそれを再現しようとしてはいけない、のだそうです。音を聞いて、分析して、高低や音色、大きさなど様々なことを総合調整して発声するのですが、意識でコントロールできる筋肉は少ないので考えすぎてしまうと上手くいかない、と聞きました。

さて、武術でも同じことが言えそうです。決まった手順にしたがった動きは出来る。こう来たら、こう動くというパターン認識も重要ですが、接触感を大事にしなければなりません。相手に触れた瞬間に力のいれ具合とか、どこを主に使っているのかなどの情報を読み取って自分の対応を調整する必要があるからです。そうしないと独りよがりの技になってしまします。
相手がどう来ようと、同じ捌きで良いではないかとの反論を受けそうですが、ここで言っているのは外見上同じ捌きであってもその中身(力加減、力の方向、抜力と充力のあり方)を意識して、無意識部分と共働して対応する必要があるということです。初心者は定型的な動きを覚えることが重要ですから、そのように動ければ十分ですが、上級者に感性にしたがった対応ができるような稽古が求められるのです。相手にも動きがありますから、直前の接触感も刻々と変化します、これに対応するには意識的に考えていては間に合いません。感じて、頭の自動化された分析機能とその命令を信じて、対応できるようになりたいものですね。

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