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逮捕術教範(下)
次に、逮捕術教範の訓令第3条に実施の心得が規定されていますが、これはまさに護身法に役立つものなので、紹介します。
(実施の心得)
第3条 警察官は、逮捕術を用いるとき、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 相手に与える打撃は、制圧逮捕に必要な最小限度にとどめるように
すること。
(2) とっさに、相手の態度、凶器の有無、人数等を識別するとともに、
地形、地物その他の状況を考え、臨機応変にこれらを自己に有利に役
立たせるようにすること。
(3) 常に相手との間合いに注意し、不用意に相手に接近することのない
ようにすること。
(4) 常に相手の先を占め、ちゅうちょ、しゅん巡して制圧逮捕の機会を
逸することのないようにすること。
(5) 凶器を所持していると認められる相手に対しては、いたずらに組み
付くことを避け、凶器を手にしている相手に対しては、まず凶器を打
ち落とすようにすること。
(6) 相手が複数の場合は、常に自己の視野に入れるように位置し、おも
だった者から制圧逮捕するようにすること。
(7) (略)
(8) 相手を完全に制圧逮捕した後も、相手の挙動および周囲の状況に注
意し、不測の事態を招くことのないようにすること。
ところで、逮捕術教範を見つけたとき、「短い規程だ」との印象とともに、昭和43年3月21日付けとなっていることに疑問を感じたのでしたが、訓令附則第2項に逮捕術教範(昭和32年警察庁訓令第2号)は廃止する。とあったので「ふーん」と納得したのでした。
で、今回、全部改正前の訓令を探してみると、結構長くて詳しいことがわかり、同訓令は昭和22年12月6日から施行するとあり、それ以前の内務省訓令もあるようなので、妙に納得したのです。この訓令では、基本技・応用技の実施要領や実施上の要点も整理されており、一見の価値はあると思います。