応急処置法20
補足説明:活法とは、現代風にいえば、仮死状態に陥った際の応急処置・蘇生法のことです。戦場や稽古場における意識喪失等、日常生活における事故の際、救急車も病院もない時代、武士の心得の一つとされていたものです。武術とは、生き残るための技術ですから、殺法とともに自他を助ける活法も欠かせない技術なのでした。そして、活法を含む武術治療法が、ほねつぎ(整骨・整復法)や脊椎矯正法、腹診法として今に伝わり、呼吸法や柔軟体操を使った健康法などとして続いています。
鶴山先生の記した「活法」は、仮死者に対する蘇生法いわゆる狭義の活法について、です。上記の武術治療法を含めたものを広義の活法とも呼ばれます。
ところで、現代では、意識消失者に対する第一次救命処置として、AED(自動体外式除細動器)の講習会などで、次のように指導されます。(筆者も職場で受講しました。)
①周囲の安全を確保、②反応の確認(意識の確認)、③協力者を求める、④呼吸の確認(正常呼吸でなければ)、⑤胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始、⑥AEDで心電図解析(電気ショックと胸骨圧迫の繰返し)、救急車を待つ、です。
では、狭義の活法について、その原理を紹介しましょう。
活法の要点は、心肺機能の再開、臓器神経の鎮静です。流儀によって様々なアプローチをしますが、今でいう人工呼吸法すなわち強制呼気法を施し、脳内を含む血行を改善し覚醒させる方法です。その他吐水法や金的を蹴りこまれた場合の対応法など個別対応も用意されています。
平和ボケならぬ安全ボケにならないよう、留意すべきでしょう。直ちに医療処置が受けられない時や場合もあるかもしれません。自分や回りの人を救えるかも知れない応急処置法、知っていて損はないでしょう。(完)