技の拡散と収束
同じ先生から習った同じ「形」を稽古しているのに、グループによって微妙に違うということがあります。もちろん手順や見た目はほとんど変わりませんが、立ち合ってみると、何か違う。
形を再現稽古するのは、それぞれ体格も考え方も異なる人たちですから、微妙な違いが生じるのは仕方ないことでしょう。先生の定期的な指導があれば一定程度修正され、動態保存が可能になりますが、先生から離れてしまうと、意図するかどうかに関わらず独自の道へと進み、更にその技が継承されることで年月を経て、大きな差となります。
技がちょっとずつ変わり、何世代かすると大きな差になり、一見同じ技かどうかも分からなくなるほど変化している「形」もあります。
厳格な様式を持って動態保存している流派は別として、一般的には技が崩れていく方向に変化することの方が多いと思います。これを技の広がりや変化として、評価すべきことか、難しいところです。
守るべき術理は何か、なぜその動きなのか、やはり原点に戻って確認することが大事かと思います。