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プログラマティック広告とは。

プログラマティック広告の座標

そもそもデジタル広告(以後インターネット広告に統一)とプログラマティック広告の位置関係は、大枠ではこんな感じだ。

一番大きな円がインターネット広告だとする。
その中にある中くらいの円が運用型広告。
運用型広告というのは、配信予算、期間、単価が予め決められているいわゆる純広告でないもの。
一番イメージしやすいのは検索広告とも呼ばれるリスティング広告だろう。
大枠の予算はあるが、純広告とは違い設定して配信して終わりではなく、柔軟な買い付け方ができる (もちろん純広告もパフォーマンスに応じてクリエイティブの差し替えなどあって然るべきだが)。
キャンペーン成果に応じて方針や配信を変更したり、極端に言えばその場で止めることすらできる。
これがいわゆる運用型と呼ばれる所以なわけだが当然運用するには戦略を立案するプランナーやキャンペーンを運用するオペレータが必要でこれらは技術職というか専門職になる。

そして、その運用型広告の中にある円がプログラマティック広告。
これはDSP(Demand Side Platform)と呼ばれるバイヤー(広告主側)の為のプラットフォームと、SSP(Supply Side Platform)と呼ばれるサプライ(媒体社側)の為のプラットフォームが「対」となって構成される広告配信システムをいう。

なぜ、プログラマティックという?

プログラマティック広告はoRTB(オープンアールティービー)という規格を通じて配信される。
RTBの意味はリアルタイムビディングだ。
日本語にすればリアルタイムな入札。

諸説あるが、このRTBの起源は一昔前にあったリーマンショックという経済危機が起きた際にアメリカのウォール街で多数の株式関係のシステムエンジニアがリストラに遭い、一部のエンジニアが株式の入札システムを広告に転用。
複数の広告を入札制にして株式投資同様に入札で勝利した広告が配信されるというシステムを構築したことが始まりだと言われている。

「プログラマティック、言い換えると自動化された広告入札システムをプログラマティック広告と呼ぶようになった。

どうしてDSPとSSPに分かれているのか。

これも諸説あるのだが、公平性、透明性を担保するためだ。
DSPとSSPの役割分担は、

  • 簡単に言うとDSPは入札をする。

  • SSPは各入札を受け入れ、最終的に誰が落札したのかを決める市場的な存在だ。

ちなみにDSPは数十社以上存在し、システム的には一つのSSPでマーケットとしては稼働できる。これがSSPをエクスチェンジと呼ぶ人がいる理由だ。

そして実際はSSPも複数社存在し、各SSPが多数ののDSPと接続し、数百、数千のパブリッシャーと接続している。

これによりバイヤー(広告主、代理店)は一つのDSPを通じて、数千のパブリッシャーの広告インベントリーにアクセスできる仕組みを手に入れることができるのだ。

  • バイヤーサイドに立てば、どれだけ良質でスケーラビリティのあるインベントリを持っているのか?

  • パブリッシャーサイドに立てば、どのSSPと接続するとどれだけたくさんのバイヤーと繋がれるのか?

これがSSPの差別化要因にもなっていた。

もし仮にDSPとSSPが同じプラットフォームで実行された場合、その入札は透明性を失い、公平な入札が行われているか確認することが難しくなる。
アドネットワークがこの点をよく指摘される。
株式、不動産もそうだが、入札が絡むものは透明性が確保されていなければ成立しづらい仕組みなのだ。

入札による広告配信のメリット

入札制にすることで当然だが、買いたいインベントリーを買いやすくなる。
そして人気のある広告在庫はそれなりに高く、人気のない広告在庫はそれなりに安くなる。
これは単価だけでなく入札密度(入札者数)も比例する。
高い金額で入札すれば、落札確率は高くなる。これは検索広告(リスティング広告)と一緒だ。
だからといってがむしゃらに高い金額で入札してばかりいては限られた広告予算を効率的に使うことができない。
以前はセカンドプライスオークションという、落札価格の2番手の価格にプラス1円した価格を正式な落札価格とするオークション方法もあったが、透明性などの問題で今はファーストプライスオークション(単純に落札した価格)が主流だ。
この為、キャンペーンの目的、成果指標に応じて買付戦略を変えていく必要性がある。

プログラマティック広告の陽の目

リスティング広告を運用したことをある人は多数いるだろう。
そしてその中には月に数億の予算を運用している凄腕の運用者もいるはずだ。
プログラマティック広告もそういう意味での専門職の領域になり、リスティング広告よりもできることが多いので、より深い知識と高いスキルが求められる。
だが、残念ながらこの領域を攻める、注目している広告主、代理店は日本にほとんどいない。
日本のデジタルマーケットの比率自体もそれを証明している。

実は海外のデジタルマーケットではプログラマティック広告の活用がメインストリームなのだが、日本においてどうしてプログラマティック広告が日の目を見ないのか、別の記事で更に考えていきたい。

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