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FA狂騒曲

「あなたの仕事っぷりやこれまでの経験、実績を大変高く評価しており、是非うちの会社に来てこれまでの経験をいかして、活躍してほしい」

「さらにいえば、定年後に特別なポジションを用意します。」

転職を考えている会社員がこのように言われて転職する事を不誠実に感じますでしょうか?
おそらくほとんどの方がそうは思わず、「いい転職だね!」であったり「次のステージでも頑張ってください!」など、肯定的に受け取るかと思います。

しかし、この日本の中には、真逆の捉われかたをして「裏切者」や「金の亡者」として叩かれる世界があるようです。それがプロ野球の世界。

今オフのFAの目玉、丸佳浩選手が巨人軍へ移籍を果たすと、一斉にカープ時代のユニフォームが売られたり、心無い誹謗中傷をされたりと正直常識的にありえない仕打ちを受けています。

よく考えていただきたいのが、そもそも一般の会社員であれば就職活動をして、内定をもらったいくつかの企業から自分自身が行きたい企業を選択し、就職する事ができますが、プロ野球選手は自分の意志は全く関係ない球団から指名されたらそのチームに行かなくてはいけないのです。
丸選手は千葉出身で小さい頃から巨人ファンと会見で言ってたように、関東で育ってきた人間です。それがドラフト会議で指名されただけの理由で、縁もゆかりもなかった広島に移り、そこから11年間必死にプレーして、実績を重ねて行き、広島カープをリーグ3連覇、自身も2年連続MVPを獲得する等、球界を代表する選手となりました。
そんな選手がようやく勝ち取った自由で、これまでの実績を評価された上で、他のチームに行くことの何が悪いのでしょうか。

今回のFAを通じて改めて、丸選手個人がバッシングされるのは全くもってナンセンスでどちらかといえば、戦力均衡を調整しないNPBこそ真剣に考えるべきかと感じました。

なぜFA移籍をするとバッシングが発生するかというと資金力豊富な球団が戦力を整えるのが圧倒的有利なためだからではないでしょうか。その点については親会社の規模や熱意の差によってどうしても詰められない差があるかと思います。それであれば、リーグとしてフェアネスを保つためには以下2つの方法が必要なのではないでしょうか。

①資金力をフェアにする
②有望な新人選手を取得しやすくする

それぞれMLB及びNBAからのアイディアではあるが、「資金力をフェアにする」のは贅沢税の導入、「有望な新人選手を取得しやすくなる」点についてはドラフト指名権の譲渡です。
資金力にフェアネスを持たせるためにはチーム総年棒に応じて、贅沢税を払わせて、贅沢税対象外の球団に再分配する事で、チーム間の資金力の差を少なくすることができます。一方、チームの主力選手を奪われたのですから、その代わりにドラフト会議にて指名する指名権を1つ譲るという事がドラフト指名権の譲渡です。
いずれにしろ、リーグ間のバランスをとるために上記のような施策をNPBがリーグとして取り組むべきだと強く感じます。

これからも丸選手は色々言われる事もあるかと思いますが、3連覇中のチームから5年連続優勝を逃しているチームへの移籍という新しい形の移籍だと思いますので、2年連続MVPの力を存分に発揮して、巨人でも大暴れしてほしいと思います。


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