ココロノボク〜小学生編〜
ボクの中には人がいる。
一人は「シュウ」
もう一人は「シンヤ」
彼らと協力しながらボクの青春を充実させていく。
一日目
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
ボクの中には人がいる。一人は、「シュウ」。もう一人は、「シンヤ」。
彼らはボクの友達。
いつも彼らと話をしている。
どんな話をしているかというと、学校であった嫌なことやボクのやってみたいことについてだ。
どれもお母さんには言えない話。
お母さんはいっつもボクがやりたいことを言うとダメって言ってくるんだ。
だからほしいゲームがあっても、お菓子が食べたくなっても、やりたい習い事があっても、お母さんには言えない。
だけどシュウとシンヤは応援してくれる。
「ほんと大人ってダメしか言わないよな。」
「頭わりーんだよ。」
「きみは何がしたかったんだい?」
シュウは口が悪いけど本当はいいやつなんだ。シンヤはとても優しくていつもボクの相談になってくれる。
「書道の習い事をやめたいんだ。字が汚い大人なんていないんだってさ。でも嫌いな友達がいるからやめたいんだよね。本当はサッカーとかしたいのに。」
「じゃあ行かなきゃいいじゃんかよ。親の言うことなんて聞かないほうがいいぜ。無視だよ。無視。
「そんなことできないよね。嫌いな友達がいるって、お母さんに言ったのかい?」
「言わないさ。お母さん心配するもん。」
「マザコンかよ。情けないな。」
「そんなこと言ったら可愛そうじゃないか。でもどうしようか。。」
いつの間にかボクは眠りについていた。
二日目
「・・・」
「何泣いてるんだよ。」
「何かあったのかい。」
ボクは布団にくるまっていた。
完全にいじけていた。
「テストの点数が悪くて怒られた。」
「仕方ねーだろ。そんなんで怒るのかよ。オメーの親。」
「次のテストで頑張ればいいんだよ。」
「なんのために勉強するのかな。。勉強しようとするとイライラするんだ。」
「分かるぞ。その気持ち。そういうときはダラダラするのに尽きるよな。」
「うん。そういうときは休もう。疲れてるんだよ。シュウいいこと言うじゃん。」
二人はいい友達だ。
だけど、ボクにはともだちはいない。
夜
「・・・」
「勉強してんのかよ。あんなにいじけてたのに。」
「どうしたんだい?急にやる気になって。」
「中学生になったら塾に入るんだ。ボクは入りたくないんだけど、お母さんが行ってみろって。」
「またお母さんかよ。やりたくない勉強して何になるんだよ。やりたいことをするのが子供だろうに。」
「やる気になってるならいいじゃないか。頑張ろうと思ったなら、応援するよ。」
「でもシュウ、お母さんの言う事聞かないとめんどくさいんだ。無視すると気まずくなるし、嫌われてしまう。ご飯とか作ってもらうから言うことを聞かないのは、申し訳ないんだ。」
「あー分かるぜ。分かるよ。お前の母ちゃんクズだな。」
「シュウ!そんなこと・・・。やる気になってるならさ、いいじゃないか。何か一つのことに全力で取り組むことはいいことじゃないか。」
「・・・」
シンヤの言うとおりだった。
集中すると自分がどこまでも行ける気がした。
このまま行くと科学者にでも、ノーベル賞受賞者にでも、何にでもなれる気がした。
集中を始めて15分。
ボクは勉強に飽きていた。
そんなボクが嫌いだった。
そうしてボクは眠りについた。
三日目
「もうすぐ卒業か。寂しいな。」
「寂しいことないだろ?お前友達いないんだし、どうせ中学でも同じメンツだろ?」
「ひどいこと言うなよ、シュウ。君は周りにとらわれずに生きてるだけなんだ。気にするなよ。」
「ボクは友達はいないけどクラスメイトとしては認められてるんだ。無なんだよ。」
「無、ね。お前は個性がないというか、なんというか。。」
「君には君なりのいいところがあるよ。周りとの強調ができてるから誰にでも優しく接することができる。」
ボクには親友もいなければ彼女なんているはずもないんだ。
だけど、嫌われてるわけではない。
忘れ物をしたら貸してくれる人はいるし、授業でわからないところがあれば教えてくれる人もいる。
ボクってなんなんだろう。
得意なことも趣味もない。
そして部屋に一人。
「ボク、告白しようかな。卒業式に。」
「いいじゃん。石井さんだろ?珍しく積極的だな。」
「頑張れよ。応援してるから。」
「でも、やめよっかな。。」
「タイミングだな。それっぽい雰囲気になったら言えばいいんだよ。」
「片思いのまま告白しても意味ないかもね。雰囲気で攻めるのはいい考えかもね。」
ちょっと散歩してこようかな。
北海道のこの時期はとても肌寒い。
だけど、ずっと家にいては暖房を付けっぱなしにしてしまいお母さんに怒られてしまう。
今日、初めて呼吸をしたような気がする。
別に彼女なんていらないんだ。
ただ、ひたすらに、変化を求める。
だけど、ほとんど、何も変わってない。
もし、ボクに熱中できるスポーツがあったら。
もし、ボクがとても頭が良くて周りから尊敬されていたら。
もし、ボクがとてもかっこよくて女子から告白されていたら。
だけど、童顔で、特に賢くもなくて、それなのに真面目で、運動音痴。
何もできないことは嫌いだ。
だけど、ボクはボクが好きだ。
だから、生きていられる。
そうしてボクは呼吸をした。
四日目
「なんで泣いてるのさ。女子って泣き虫だよな。」
「君には女子の気持ちなんて分からないよ〜。
寂しいんだよ〜。」
ボクの背の順は石井さんの隣だ。
今日は小学校の卒業式。
女子はみんな、泣いている。
男子はほとんど騒いでる。
そして、先生に怒鳴られた。
「石井さんはみんなと違う中学校に行くんだよね。」
「そうなんだよ〜。だから余計寂しい!
君とも会え く な し。。。。」
周りの男子の声が大きくてよく聞こえなかった。
「え?なんか言った?」
「うるさい!なんも言ってないわ!」
多分、石井さんもボクのことをなんとも思っていないのだろう。
それが分かってて、つらい。
男子に石井さんと話してたことをからかわれた。
ちょっかいをかけられたので、かけなおした。
石井さんが少し愛しいそうにこちらを見ていたのをボクは目にした。
ボクは失恋をした。
ボクは少し優しくされれば、好きになってしまう。
石井さんは6人目だ。
もはやだれでもよいのだと思う。
自分を認めてくれる存在が欲しい。
だれでもよいのだ。
卒業式後
「お前も写真撮ろうぜ!」
ボクは写真は嫌いだった。
だけど、せっかくだし一緒に撮ることにした。
ハイチーズ
ボクは作り笑いをして、なんとか周りに溶け込むことに成功した。
「お前はバスケ続けるの?」
ボクは小学校のバスケクラブに入っていた。
「うーん。やりたいんだけどさ、お母さんが勉強しろって言うから入れないかも。。」
「んだよ、やりたいならやればいいのに。。。。」
・・・
夜
「はあ、春休み暇だろうな。異世界に転生しないかな。」
「あーはいはい。ゲームのやりすぎな。外で遊べ。」
「何もしなくてもいいのさ。思うがままに一日を楽しもうよ。」
何もしない日々に焦りを感じていた。
このままでいいのか、自信がなかった。
自分という存在に自信を持てないので、何らかの価値を見出そうと必死になっていた。
空回りするばかりだ。
勉強もスポーツも恋愛もうまくいかない。
だけど、だからこそ、自分にしかできないことがあるはずだし、自分を好きで居続けたい。
そうしなければならないのだ。
この春休みはだらだらしよう。
たまに外に出て大きく呼吸をして。
そうしてボクは成長した。
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