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カナダで盲腸になった話【入院/退院編】

仕事納めをして嫁さんの実家でまったりできると思いきや、甥っ子姪っ子を面倒を見続けて寧ろ仕事をしてる時より疲れてる気がする今日この頃みなさんいかがお過ごしでしょうか。

でも子供たちは可愛いので疲れも吹き飛びます。

今回は前回の【ER/救急外来/手術編】の続き、【入院/退院編】でございます。

術後

夜10時前頃、気づいて目が覚めた時には手術室の外にいました。全身麻酔は人生初だったのでなんか不思議な体験でした。

目が覚めたら術前にいろいろ話してくれたナースが「体調どう?」みたいな感じで聞いてくれたり、術後の経過について説明してくれましたが、マジで全く覚えていないです。メガネ(視力0.05)がなくて何も見えなかったり、なぜか喉が痛くてあんまり喋れなかったり…ひとつだけ覚えてるのはナースが最後に「Good bye, Kinesiology boy」って言ってたことくらいですかね笑(大学院でKinesiologyを勉強してクリニックで働いてるって伝えたのを覚えていた…てか自分はまだboyでいいんかって思いました…)。

そのままベッドに乗せられたまま、一晩泊まる個室に連れられて行きました…

初めての入院

個室に来るとナイトナースが何だかいろいろ説明してくれましたが、これもまた全く覚えてないです…

しばらくして、10時半頃に婚約者が個室に到着。ずっと手術室の前の廊下で待ってて、術後にサインが「In Recovery Room」に変わったらしいけど、誰も自分がどこに行ったのか教えてくれなかったらしくて、近くにいたナースに聞いて個室まで案内してもらったとのこと。いや、誰も教えてくれないんかいっていうツッコミは日本人の自分だけではなくカナダ人の婚約者も言っていました…

自分はあんまり意識がしっかりしてなかったので、婚約者がもう一度説明を聞くためにナイトナースを呼ぶことに。ただ、この時の説明が適当なのなんの…
まず、初っ端に「帰りたければ帰っていいよ」と言い始め、自分と婚約者は再び目を合わせて「へ?」となりました。てか30分前に手術終わったばっかりなんですけど?と思いつつ、いや今夜は泊まって行きますと伝えると、あらそうなの…という反応。

婚約者が何故喉が痛くて喋りにくいのかとか、痛み止めをどれをどのくらい飲んだらいいのかをいろいろ聞こうとするも、私はわからないからチェックしてくるわ〜と言い、処方された痛み止めを持って来てくれたものの、説明については曖昧…たぶん6時間ごとに飲んでね〜って感じでした。(ちなみに喉の違和感は全身麻酔の為に喉にチューブを入れていたかららしい)

自分は疲れててもう寝たいって感じでしたが、婚約者はずっと寝ずに1日中付き添ってくれてたので疲れもあってかとてもイライラしてたそうです笑
iPhoneの充電がなくなってきてるから貸してくれない?って聞いても、ナイトナースは「私は貸せない!」って言って断ったり(後にチーフナースが持って来てくれた)、個室には他に座れる椅子が無かったので椅子をどっかから借りてもいいかと聞くと(私は仕事したく無いと言わんばかりに)不機嫌になって椅子を持って来たり…

相当帰りたかったのか、というか椅子での寝心地が悪かったのか深夜に婚約者に家に帰らない?と言われましたが、流石にまだここで寝させてくれと伝えました…(ごめんよ)

ナイトナースがバイタルチェックに為に1回だけ来てくれましたが、その後は朝まで誰もチェックしに来ませんでした。痛み止めが効くまでは腹部が痛かったのは覚えています…

退院する為には…

朝6時くらいに目が覚め、ベッドで寝てる時点では特に痛みも無かったのでじゃあ帰る?と婚約者と話し、ナースを呼ぶことに。
適当だったナイトナースではなく、おばちゃんナイトチーフナースが来て、退院したいんですけどと伝えると、退院する為には
1.おしっこをすること
2.歩けるようになること
が必須のこと。いやいや、ナイトナース何も言ってくれなかったやーん、帰りたければ帰っていいよとか言ってたやん、どれだけ看護したくないから適当やったんやと再認識…苦笑

後、起き上がる時はそのまますらっと起きるのではなく、横に転がって腹圧がかからないようにして腹部ヘルニア(脱腸)を避けるようにしないといけないよ言われました。これまたナイトナースは伝えてくれなかった…

とりあえず、おしっこに関しては痛みもなく全然大丈夫でした。歩行に関しては最初は痛みがありましたが徐々に慣れて行きてくてく歩ける程度にまで成長。退院してからは数週間は強度の運動を控えたり、腹圧のかかるようなこと(いわゆる腹筋とか重たい物を持ったり)は控えたりするように言われましたが、歩くことは回復の為と便をする為に重要と念をおされました。

ちょっと歩いた後は朝食タイム。日本の病院食を経験したことはないので比較はできませんが、ザ・ノースアメリカの朝食(病院 ver.)でした。ベーグル、卵、ゼリー、などなど…インスタントコーヒーもありましたが不味すぎて逆にそれが印象に残っています。

コーヒーが不味くて悲しんでるところをパシャリ

この時に新たな若めのモーニングナースが来てくれて、バイタルを取ってくれたりしてくれました。

朝食後はさっさと退院する為にフロア内を歩き回っていました。個室に戻るとしばらくして手術の時にいたNP(Nurse Practitioner)が来てくれて、やっぱりappendix(虫垂)がちょっと炎症してたからもっと悪くなる前に切っておいたよ!doctor’s note書いておくよ〜follow upの為に1ヶ月後に予約してまた病院来てねと伝えられました。

Appendix(虫垂)の多少の炎症だけだと、処方箋だけもらって返されて、後に更に悪化するケースとかも少なくはないらしいです。今回は切除してくれたので今後は心配ないらしい。

Doctor’s noteにはこの患者はこの日に入院してこの日に退院しました〜。2週間の仕事の休みをおすすめします〜(できるのであれば早く復帰してもいいよ)。10lbs(5kg)以上の物を持つのは6週間禁止ダヨ。と書かれていました。

モーニングナースは盲腸の手術後のことについてまとめてある書類を印刷してくれたり、(ナイトナースとは打って変わって)とても丁寧に処方箋の薬の飲み方、もし痛みが引いて来たら処方箋の痛み止めは腹痛を起こすことがあえうので、OTC(薬局で買える薬)のAdvil/Tylenolに変えてもいいよと説明してくれました。

ついに退院

そしてIVが外れて、朝の10時半前ついに退院することに。ER到着から24時間術後から12時間後とは思えないほど、外の空気を吸えた時は清々しい気持ちになりました。

処方箋をもらう為に家の近くの薬局へ。処方箋以外にも消化しやすいゼリー系のものや、ゲータレードなどのスポドリを買ったりしました。

経過

術後で1番恐れていたには腹部ヘルニアでしたが、起き上がる時にちゃんと注意したり、重たい物を全く持たないようにしていたので経過はとてもよかったです。月末に引っ越しをしないといけなかったのですが、婚約者や前のルームメイトにほとんどの荷物を運んでもらってとても感謝です…

腹圧をかけられないので便に関して少し心配でしたが、食物繊維を多めに取るようにしたり、RestoraLAXといういわゆる下剤を飲んだりして、少し痛みがありましたが翌日に3日ぶりにゆるめの便を出すことができました。毎日便をしっかり出す自分にとっては3日間も便秘だったのはちょっと辛かったです笑

Laxativeいわゆる下剤

水曜に手術、木曜に退院して、もちろん木金は仕事を休み、土日も安静にしていましたが月曜(5日後)には仕事復帰しました笑 盲腸の重症度によって経過も異なってくるらしいですが、自分は割と早いリカバリーだった思います。

Follow upの予約に関しては割と適当?でした。仕事ができるモーニングナースが1ヶ月後に予約取ると、その1ヶ月後にしか予約取れないから退院して家に帰ったらすぐに電話した方がいいよとアドバイスをしてくれたので、電話したのですが繋がらず留守電を残すことに。次の週の仕事をしてる最中に電話が来たので、ちょっと時間が空いた時に折り返し電話したらまた留守番になり、それ以降電話がかかってくることはありませんでした…笑
結局follow upのアポイントメントはありませんでしたが、まぁ特に感染症やヘルニアも無かったので大丈夫だったのだと自分で思い込んでいます。

ただ、術後に自分のかかりつけ医(family doctor)には診てもらい、術前に尿検査と血液検査で異常値が出たので念の為に検査をしたいと伝えると尿/血液検査をオーダーしてくれて、その結果はしっかりと異常なしでした。このかかりつけ医のフォローアップも自分で予約して自分でこれのフォローアップがしたいと伝えないと特に何も言われなかったりするので自分で積極的に伝える事が大切です。

費用は?

気になるかかった費用ですが、カナダはuniversal healthcareなのでER、手術、入院、処方箋全てが無料でした。今回お金を払ったのは処方箋の薬8ドル(benefitで多少カバー)と病院の駐車場代くらいです。

もしアメリカで盲腸の手術をした場合は100万〜200万円くらいかかるみたいで、費用面に関してはカナダのヘルスケアはありがたいです。そしてもしアメリカに旅行に行く場合は絶対に保険があることを確認しないと後々大変なことになります…知り合いに盲腸になった話をしたらその人はアメリカ旅行中に無保険で盲腸になり、費用がエグかったと言っていました。

ただ、どこの国の保険制度にもメリット・デメリットがあります。カナダは医療費は無料ですが、待ち時間が半端じゃないです。今回のER visit(救急外来)も(優先度をtriageさせられた後ですが)ER doctorにまず診てもらうまでに6時間かかりました。自分の場合は最初の2-3時間だけしか病院で痛みがひどくなかったので良かったですが6時間痛みでもがいていたら大変だったと思います。ちなみに12時間(以上)待った挙句、特に何も処置されなかったり、処方箋だけ貰うケースも少なくないらしいです。

ERだけではなく、Family doctor(かかりつけ医)が見つけられない人が多かったり、walk inクリニックに予約が必要だったり待ち時間があったり、MRIに1年以上かかったり、スペシャリストに診てもらうのにも推薦状(referral)が必要で1年以上結局かかったり、Knee/Hip replacement(人工関節置換術)にが18ヶ月待ちだったり…など”無料”だけど待ち時間が問題だったりします。

自分自身Primary Health Careのクリニックで働いているので身近でそれを体験しています。ただ、意外と身近にいろんな有益なリソースやプログラムがあったりするのに患者さんたちは知らなかったり、知らされてなかったりしてるのも事実です。

自分がいるアルバータ州では今まさにヘルスケアのデザイン/システムを改善しようとしていて、移行期間になっています。もちろんどのアップデートにも賛否はつきものなので、この州の変更もいろいろと意見が分かれていますが、今後どうなっていくのかは楽しみです。

まとめ

最後話は少し逸れてしまいましたが、これが自分がカナダで盲腸になりERへ行き手術をして入院そして無事に退院できた話でした。

もし海外で独り身で同じような事が起きたらもっと大変だと思います。救急車を呼んだ方がいいのとか、誰に助けを求めたらいいのとか。自分の場合は嫁さん(当時は婚約者)が助けてくれましたが、もし当時誰にも助けを求めなくて数時間後に痛みがなくなったら、ただの腹痛だと勘違いして病院にすら行かなかったかもしれません。そしたら後に症状が悪化してもっと長い間入院という結果にもなりかねなかったと思います。

もし今、emergency contact(緊急連絡先)がない場合はまずは誰にお願いするか確認しましょう(家族、パートナー、ルームメイト、友達、同僚など)。病院でも何かあった場合はその人に連絡がいきます。あとはカナダの場合はちゃんと州の保険に加入して有効期限とかを確認しましょう。もし有効期限が切れていたら例えばアルバータ州では基本的に無料の医療機関を利用する事ができません。

そして、ER visitの際は充電ケーブルとか歯磨きセット、スナック、着替えなどを最低限準備することをお勧めします。自分たちは何も持っていかなかったので少しだけ大変でした…
いわゆる日本の震災セットみたいな感じで、すぐにアクセスできる病院セットみたいなのがあるといいかもしれません。震災時みたいにERに行くような状態だとパニックになって普段は忘れないようなことを忘れたりします。

そして最後に、アメリカに行く際は必ず保険に加入しましょう。

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