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いつも唐突に現れる人
突然、Instagramのフォロー通知が来た。
そこに表示されていたのは、だいぶ懐かしい名前だった。
彼は僕の高校時代のバイト先の店長で、年齢は5個上。当時から仲良くしてくれていて、よくバイト終わりにご飯に行ったり、無駄にドンキホーテに行ってみたり、ドライブに行ってみたりとよく遊んでいた。
中性的な彼は、生物学的には男性だが自分のことを男性とも女性とも思ってないらしい。まあ別に本人が良ければなんでもいいので、その辺はあまり深く話したことはない。
僕が高校を辞め、東京の大学に進学することになった時、彼もバイト先の仕事を辞め、東京で就職した。東京での就職先がブラックだったこともあり、早々に地元へ帰って行ってしまったが...。
普段彼はSNSもやってないし、特に連絡も取らないのだが、僕が200万円盗られた大事件の後、突然連絡が来た。
久しぶりに会いに来てくれて、色々な昔話や近況を話し合ってとてもいい時間を過ごした。
そして今日、当然Instagramに現れた。
いつも何かあると、突然連絡がくる。タイミングがいいのか悪いのか、よく分からない人だ。
そして数年ぶりに電話をかけた。彼は相変わらずで、人の話に本当に興味がない。興味がないと言うか、びっくりするくらい反応が薄い。でもひたすら相槌をしながら話は聞いてくれる。相談をしていても意見してくることもなければ、何か優しい言葉をかけてくれることもない。
今日もそんな感じだった。僕が死のうとしたことや、北海道に来たこと、会社を休んでいたことや、仕事を辞め探していること。何を話しても、うん。しか言わない。その後に生きててよかった。とか、どうして死にたくなったの?とか、普通なら聞いてきそうなもんだが何も聞いてこない。
でもなぜか、居心地は悪くない。
少しの電話だったが、そんな時間だった。
近々、会おうよ。
そんな約束だけして終わりにした。
彼はいつも唐突に現れて、現れたと思ったら消えていく。しかも大体僕に何かあった時に限って突然現れる。
きっとこれからもそう言う存在なんだろう。
そう言う意味では、彼には現れてもらわない方が良いのかもしれないが...。
とりあえず、関東に戻るにあたっての楽しみがひとつ増えたので、大切にしておこうと思う。