映画感想『ある男』-幸せを測ることはできない!
2022年公開の映画『ある男』
非常に興味深かったので記録
観てみたいと思っていただけたら幸いです
どんな話?
原作は芥川賞作家の平野啓一郎氏によるもの
舞台は、とある田舎の町
離婚をして実家に戻ってきた里枝(安藤サクラ)
時同じくして、突如町に移住して来た大祐(窪田正孝)と出会い友達になる
いきなり町に現れた大祐に周囲は訝しむも、真面目な人柄から周りにも受け入れられていき、やがて里枝と結婚
子供にも恵まれ、幸せな家庭を築いていく
ある日仕事中に事故に巻き込まれ、大祐は命を落としてしまう
悲しみに暮れる中、法要に訪れたのは、長年疎遠になっていた大祐の兄
そこで大祐の遺影を見て
「これ、大祐じゃないです」
里枝が大祐と思い、一緒に生活してきた男は大祐ではなかった。
では彼は一体誰?
なんのために名前を変えていたの?
離婚の際に世話になった弁護士の城戸(妻夫木聡)に身元調査の依頼をする
城戸は里枝が愛した旦那は誰なのか、本物の大祐はどこにいるのか、真実を調べていく…
大事にしたいと思った感覚
①幸せかどうかは自分が決める
親ガチャなどのワードが出てきている昨今
与えられた環境で人生のレールがある程度決まってしまうような考え方が多い
これに関しては経済的な面、地理的な面等々考慮した時に、全部自分次第!とは言えないと感じる(ワードとしては好まないが)
ただ、その与えられた環境下でどう生きて、何をもって幸せとするかは本人次第だと改めて強く感じた
周りから見たら幸せそうな家庭も、家族の中の関係性、それぞれのバックボーン等を抱える本人からすると、もしかしたらベストではないかもしれない
側から見たら愚行に思えるような人生の選択も、本人にとっては最良の選択かもしれない
周りから羨まれても、自分の生活にプラスは無いし、その逆も然りだ
結局は、自分にとってのベストは何かを考えて実現していくべきだなと思えた
②人間の多面性は必要
私たちは常に人から見られている
そして、知らない間に見えないレッテルが貼られている
あの人は、こういう人
いろんな人から、いろんな見方をされていると日々感じる
時には周りからこんなことも言われる
「Aさんは仕事では真面目だが、家に帰るとだらしないらしい」
「Aさんは職場ではおとなしいが、友達と遊びに行くといつも騒がしく、落ち着きがないらしい」
「Aさんは仕事では車を売っているが、本当は車は嫌いらしい」
本当のAさんってどういう人なのか
どれもAさんで間違っていないと思う
職場でのAさんも、友達の前でのAさんも同じ
環境によって自分がベストだと思う自分を出しているだけだ
ただ、人や環境によって態度を変える人、こういった人たちは他人から非難を受けやすい
でもそれは下記のようなケースに当てはまる場合では無いだろうか
・実力以上の姿を誇示
・周囲にとって悪影響
等身大の自分を出すことは楽だし、周りにとっても良い影響を及ぼすのであれば、多面性を持つことはあって良いことだろうと感じる
ありのままの自分であれば、見せ方は自由だ
全部の面を全員から知ってもらう必要もない
直接的ではないかもしれないがこのようなことを考えさせられた
映画の所感
ハッピーエンドなの?バッドエンドなの?
どのように展開していくのか、常に気になりながら見続けることができた。
音楽も、どこか物悲しいような、どこか不安を感じるような、そんな曲調の物が多く、引き込まれていった
安藤サクラさん、窪田正孝さん、妻夫木聡さんの表情も見方によって異なる表情に見えてくるため、最後まで楽しむことができ、再度見たくなるような作品だった
大事にしたいと思った感覚として書いたが、これも人によって受け取り方は違うと思う
作者の方からするともっと壮大なことを考えていらっしゃるかもしれない
そんな様々な見方も可能な作品なので、皆様にもお勧めしたい