浦島太郎を幸せにしたい。
「なんか視線を感じるんだよなぁ。」
朝食のご飯を食べながら、太郎はぼやいた。
「何?学校でなんか嫌なことでもあった?」
母が訊いてきた。
いま通っている中学校は先月からで、転校生の俺はクラスで浮いていた。
母がすぐ心配するから、なんとかやってると口を濁していた。
都内から田舎へ親の都合できたけれど、
『東京もん』といじるやつがいた。
そんなやつがクラスのボス的存在だから、俺と仲良くなりたい奴なんていな…あっ、一人いたな。変なやつ。
「おーい!タロー!学校行こうぜー!」
近所に住んでいる、一つ上の次郎だ。
越して来てすぐに、親と一緒に挨拶回りをした時に会ってから、やけに馴れ馴れしかったんだよな。
次郎のやつ、早すぎだろ。まだ7時前だぞ。
「10分だけ待ってやるぞー!」
次郎が叫ぶが、俺はいつも通りゆっくり支度をした。
玄関の戸を開けると、次郎がしゃがんで待っていた。
「おっせーわ。英単語12個は覚えたわ。」
「良かったですね。」
手ぶらじゃん。
「冷てーなータローは。」
「うっせぇわ。次郎のくせに。」
「次郎先輩と呼べよ!」
たわいもない会話をしながら学校へ向かう。
次郎が、最近変なことはないか?と声を落として聞いてきた。
心当たりがあったが、別に、と答えた。
「なら、いいんだ。」
それ以上は訊いてこなかった。
本当は気づいていた。
ウミガメが俺をストーキングしている。
いつからかは知らないが、視界の端に映っていた。
最初、俺は寝ぼけているか、ストレスで、幻影が見えているんじゃないか、とあまり気にしなかった。
今日もいたが、別に悪さをするわけでもないから、放っておいた。
学校に着き、昇降口で次郎と別れた。
2ー1。
教室に入り自分の席に座る。
話しかけてくるやつはいない。
今日も変わらない1日が始まるだけ、そう思った。
しかし、担任が生徒を連れて教室に入ってくると、周囲がザワつきだした。
俺と同じ、東京から転校生が来たらしい。
モデルみたいに色白で可愛い!と女子が騒いだ。
都内ではよく見かけるレベルでも、田舎の子からしたら、垢抜けて見えるんだろうな、と心の中でくさした。
普段、これだから東京もんは、とバカにされるのだから、思うくらい、いいだろう。
転校生の名前は乙川姫。
本人はこの名前を気に入っているらしい。
動画配信をやっているので、見てね!と話しているのが聞こえた。
(7月2日追加)
田舎に来てから、毎週日曜日は海に行っている。
次郎のせいだ。
ここの浜辺は漂流物が多い。
ボランティアで毎月一回ゴミ拾いがあるが、先月初めて次郎に無理やり連れて行かれた。
嫌々参加したが、綺麗になった浜辺や、知らない大人達にありがとうなと言われる経験に胸が熱くなった。
何もかも諦めて生活してきた中で、それは小さな光になった。
自分でも誰かの為になることができる。
「えらいぞ!タロー!」
次郎が背中をバンと叩く。
「うっせぇわ!次郎のくせに。」
「次郎先輩だろ!」
タローは、ボランティアでもらった炭酸ジュースを振って次郎に渡した。
だめだ、妄想の限界だ。
次郎がきっかけで、タローはボランティアで浜辺のゴミ拾いをするようになりました。
その時に、ウミガメを助けたのですね。
ウミガメがストーカーなのは、以前、タローに助けてもらったお礼がしたくて、でも話しかけるタイミングが見つからなくてわたわたしていただけ。
ウミガメは、乙姫の生まれ変わりの乙川さんと出会い、意気投合した。
乙川さんの家は祖父母が旅館『竜宮城』を経営していて、うちに呼ぼうかとなる。
タローは、最初は断るが、次郎に俺も行くからと、無理やり連れて行かれる。
旅館『竜宮城』には開かずの部屋があって、入っちゃダメと言われたのに、次郎を止めるためにタローも入ってしまう。
その部屋は本物の『竜宮城』と繋がっていた。
竜宮城とは実はタイムマシーンで、過去か未来どちらかを見ることが出来る。
未来で起こるはずだった、悲しい事件を阻止することができました。
タローと次郎の友情物語。
そんな感じにしたかったのですが、いかんせん文章力がないので、こんな感じになりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(*´∇`*)
すべて妄想です。
登場人物、場所等すべて妄想です。