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人生選択の失敗_大学編

「手に職、付けた方が将来安泰」…?
答えは、「それで一生食ってく覚悟があるなら!!」

とりあえず、理系に進んだ。
科学者…格好いいよね??
でも大学で学べば学ぶほど、どんどん化学が嫌になっていった。
目で反応がわかる合成なんて、ほとんどない。
理解できない公式、徹夜続きの研究課題のまとめ。
昼間はMaxまで授業、毎日何かのテスト勉強。

「理解する時間がない、暗記するが早い!」なんて選択を強いられるような忙しさと緊急感が常にあり、辟易する毎日。
周りの文科や経済系の大学生なんて、バイトと合コン三昧なのに。その生活のギャップにも凹む毎日。

まぁアホなわたしが悪いんだけども。
でもナノレベルの構想を、「正しい」とか「正しくない」とか一生話し合える?机上の空論のようで、しかもその正誤の判断もデータを用いて「恐らくは」の状態。辻褄合わせで100%明確に「合ってるよ!」と教えてくれるものなんてない…わたしはもう無理だと思った。

推理では犯人が答えてくれる。営業でもお客さんのリアクションで測れる。
でも化学だけは、目視で見れるものではないし、
他の化学的性質を調べて、総合的に判断するしかない。その上で、議論を進めていけなければ、科学者として第一線では戦えない。
今思えば、その少しの不確かな要素を抱えた状態での、議論が性格上合わなかったんだと思う。

就職活動が迫られる前までは、それでも将来に希望があることを信じて耐え続けた。「ここまで頑張って来たし、化学と一言に言っても、分野はたくさんある!化学の世界は広いんだ!!」
有機化学、無機化学、物理化学、生物化学、触媒化学…確かに分野はたくさん、知らない世界はまだまだある。
「これだけあれば学んでいった先に、きっと自分のWant to(ピッタリくるもの)が見つかるかもしれない!」
そんな期待をもって、その時々感じてる「嫌だな」を押し殺して卒業まで頑張った。もしかしたら、やれば現状のもやもやが変わる日が来るかもしれない!

しかし残念ながら、実際はそんな出逢いはなかった。むしろ絶望感を持つようになった。
思ったこととして、理系を選択するメリットは、世の中少なすぎる。というか、労力に見合う未来が少ないと思う。
好きなら良いけど、苦しみながら続けたところで、化学系の働き方は型が決まっている。感じたのは「苦しかった結果がコレか」と。

オリジナルの研究結果を得て、評価されたいなら海外に行くしかない。
自分の人生の代名詞を「化学」で作ろうとすると、とても難しい。
結果を作るための、そもそもの環境を自分で掴まなければいけない。
環境というのは、研究を続けていける職場なり、海外進出の機会なり、個人でやる場合は資金とか支援とか。
でも自分のやりたいことが合致する職場・企業なんてめったにない。
あったとして、そんな一握りの職場に採用されるためような大きな成果を出せるか?ほんと一握りの。(いや、常人ではむり笑)

理系に進めば、収入が大きい?…意外と他の企業と変わらないもん。稼げるのは、一握りのひとくらいだと思った。
ちょっと好きぐらいの三流大学卒じゃ、工場の廃液管理とかケミカル系の営業くらいじゃない?

意外と…夢はない化学専攻。研究職に就いてもほんと研究室の延長だと聞くし。
わたしの同級生も、営業とか銀行とか介護系、公務員とか、化学研究に関わらない就職先になったひともたくさん。むしろ、化学研究職や品質管理職に進んだ人の方が少なかった。
化学職の花形となるそれらの仕事は、院生ならまだしも、4大卒での採用はかなり難しいのと、「化学はもういいや」と諦めるひとが多かったのが理由としてあると思う。

また化学の研究室で最も重要なこととしては、集団生活を上手く続けていくこと。
研究室の作業の中では、危険物も扱う環境でもあるため、何かと承認を取る必要があったり、効率的に進めるためには協力体制が必須。

営業マンのように、ひとりいきなりやる気をもって、行動力で成果を出して認められるような年齢関わらず夢がある職業とは異なり、結局は年功序列な環境になってしまうと思う。
だから科学者として、個人で何か成し遂げたいような野心があるひとは、とても夢のない環境に感じるのではないかなって。

化学の世界は、化学がほんとに楽しくて仕方ないひとが成功する場所。(わたしの偏見あるとは思うけど、実際そう思ったから)

…後悔として、
肌感で「慣れない」と思ったなら、転部でもすればよかった。

「逃げたら負け」という思考が邪魔をして、続けた結果、
苦しい勉強をしながら、研究に追われながら、
同時に就活をしなければならなかった。自己理解なんかしてる暇なかった。

未来を考えることを怠ってしまった。それが社会人になる第一の失敗。
全力だったあの時間は無駄だったと思う。
だれかの、参考になるなら。

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