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「タイタニック」に描かれる社会と19世紀の芸術文化

こんにちは。お久しぶりです。ShiNと申します。
先日(かなり前になってしまいましたが)日テレ系列「金曜ロードショー」の方でタイタニックが2週連続で放送されていましたが皆さん見ましたか?
視聴率も前後編共に2桁超え、TwitterでもTikTokでも大騒ぎになっていて、時の名作はやはりいつの時代も愛され続けるんだなと僕自身改めて実感しました。
僕の通っている高校でも大反響で、女性陣たちが「ディカプリオカッコ良すぎやろ」「何回見ても号泣」と申しておりました。笑
タイタニックのレオ様は国宝どころか世界遺産ですからね。(今は……?笑)

さて、僕も唯一見た洋画であり人生でこれ以上の名作に出会う事は当分ないだろうと思えた「タイタニック」なのですが、今日はタイタニックが世界の縮図と呼ばれる理由と、主人公ジャックとローズの悲しくも美しいラブストーリーの背景にうかがえる19世紀の芸術文化を、実際の歴史的観点からも書いていきます。

タイタニックが「世界の縮図」と呼ばれる理由

①最下層から最上位の世界が重なっている

タイタニック号では、同じ乗客でも3等室から1等室に振り分けられ、その階層が下から順番に積み重なっており扱いも全く違います。また、3等室のさらに下には過酷な肉体労働をする火夫がいて、わかりやすいまでに最下層から最上層の世界が重なっています。当時の世界、特にイギリスの社会では激しい階級差の意識があり、そしてそれはタイタニック号の中ではさらに凝縮して表れているのです。
②犠牲者の数

タイタニック号の格差は犠牲者の数でも残酷に表されています。1等船客の女性の救出率は97%、男性が33%、子どもは1人を除いて全員助かったのに対し、3等船客の女性は46%、男性が16%、少女が45%、少年は27%しか助かりませんでした。
実際に数の足りない小型ボートへの避難誘導は1等船客から始まり、3等船客は誘導されるどころか閉じ込められてしまい、鍵をかけて乗組員にも逃げられてしまう人もいたそうです。
また、スミス船長役を演じた俳優のバーナード・ヒルはこう語っています。

「タイタニック号は、組織化された社会の象徴だった。皆が自分の居場所を知っていた。社会階級の上下があり、さらに言えば、デッキにも上下があった。船が沈んだ時、乗客たちはそこにも搾取の構造があったことに気づいたのである」

1等船客と3等船客の救出率にこれだけの差がありながらも、当時の歴然とした階級社会のために大きな問題にならず、まるで当たり前のようにやり過ごされていたのです。
③コルセットと自由なジャック
タイタニック号の3等室にいた移民たちは貧乏である反面、何にも縛られず制約を受けない自由さがありました。しかし1等室にいた上流階級の人々は挨拶の仕方、お茶の飲み方、タバコの吸い方、座り方まで、あらゆる面において90近い数のマナーがあったそうです。
その制約を象徴するのが、母親がローズに締めるコルセットでしょう。

コルセットを身につけ、蜂のようにウエストを絞った女性の上半身は当時「黄金の龍」とも呼ばれ美女の条件の1つでした。このシーンでは、コルセットを締める=制約に縛りつけるという意味が込められているのです。
莫大な借金がある事を盾に娘の自由を奪い、「不公平で当たり前。女はね、思い通りには生きられないの」と話す母の心情、その男尊女卑的な価値観は、当時では普通とも言えるものだったのかもしれません(ちなみにこれはいざ船が沈没する時には女性と子どもが優先されることの皮肉にもなっている)
元はローズが母親のコルセットを締める事になっていたのですが、ジェームズ・キャメロン監督と俳優たちの意見で反対の方がより象徴的なシーンになるという理由でその場で変更したのだとか。
だからこそ、そんな価値観に囚われないジャックがローズを変えていくのです。

自由奔放で理想的な男性にも見えますが、同時に未熟でもあるジャック。その象徴とも言えるのが、船頭に立った時に叫んだ台詞。

I'm the king of the world!!!!!!
         ー世界は俺の物だ!!ー

客観的に見れば乗っているタイタニック号自体バリバリの格差社会ですし、まだ世界も何も自分の物にはできているわけがありません。しかしジャックは「自由」という圧倒的なものをすでに手に入れているのですから、無邪気にもその事を心から喜んでいるともいえるでしょう。
だからこそ、船頭でジャックが後ろからローズを抱き、ローズが腕を大きく広げて風を感じる、というシーンが感動的になっています。今まで檻の中に入れられたような生活に絶望していたローズが、ジャックから「自由」のひとときを与えられ、鳥のように飛ぶ喜びを知ったのですから。

「人生は贈り物。だから、それを無駄にするようなことはしない」

こうジャックは言っていました。
彼は未熟で無邪気であるからこそ、格差を気にすることなく、あらゆる事を諦めていたローズに「自由」という贈り物を与えた。身分違いの悲恋はそのことにも大きな感動がある物語になっていたのです。
◯参考(及び引用)記事はこちら↓

タイタニックで見る19世紀イギリスの歴史的芸術文化

続いて僕が着目したいところは、タイタニックの美しく芸術的な内装です。

実際のタイタニックの内装にはロンドン・ピカデリーのホテル「ザ・リッツ」が大まかな影響を与えたそうです。このホテルは1906年のオープン以降現在も伝統ある老舗ホテルとして
「ザ・リッツ・ロンドン」の名で営業中。
(ホームページは英語表記です)

公式YouTubeに動画もありましたのでこちらも貼っておきます(こちらも英語音声、字幕無しです)

まるで映画の世界(まさにタイタニック)のような美しくオシャレなデザイン、ファンとして人生で1度は行ってみたいホテルですね。
タイタニック号船内には客室やホール以外にも
スイミングプールやスチームサウナ、スカッシュと呼ばれるスポーツをするためのコートまで豪華な設備が整っていました。
さらに船には専用の新聞「アトランティック・デイリー・ビュレティン」紙が印刷され、毎晩1等客室の喫煙室に置かれていたそうです。

筆者より

最後に筆者が1番好きなタイタニックの名シーンのHD高画質バージョンを紹介しておきます。

このBGMのRoseも大好きなんですよね〜。
実際に夕方に聴くと映画のシーンが鮮明に思い返されてつい感傷的になってしまいます。
筆者おすすめの名曲です。

また、つい先日LEGO社より「大人向けセット」としてタイタニック号のレゴモデルが発売されました!

やはりファンとしては手に入れておきたいと思っているのですが、いかんせん7万超ととんでもない値段してるので……(しかも1m35cmだから置き場所に困りそう)要検討ですね。笑
長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。僕のnoteを通して少しでもタイタニックに魅力を感じていただけたなら幸いです。次回作にもどうぞご期待ください。

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