〜第三者検査=受入検査とは何か〜(2011/4/21掲載)
※本コラムは、2011/4/21に株式会社ジャストのコーポレートサイトへ投稿されたコラムの再掲となります。
前回のコラムでは、「日本には建築物の第三者検査についての明確な定義がない」と紹介しましたが、実は建築業界で「第三者検査」と通称されている検査があります。建築鉄骨の溶接部などに不良がないかチェックする「受入検査」がそれです。
マンション、ビルなどの建築構造物に用いられる鉄骨の品質管理は、従来、鉄骨製作会社の自主管理に任せられていました。ところが80年代〜90年代のバブ ル経済期に建設された建築物を中心に、不良鉄骨が相次いでみつかったことから、建築鉄骨の品質検査体制に疑問の眼が向けられるようになりました。
その結果、98年に改正建築基準法が施行され、鉄骨製作会社が行う「自主検査」とは別に、設計事務所や建設会社などの発注者も、鉄骨を受け入れる際に品質 検査を徹底するよう求められるようになりました。そしてこの「受入検査」は通常、私たちジャストのような非破壊検査技術を持つ検査会社、つまり第三者に委 託されます。このため「受入検査=第三者検査」と呼ばれているのです。
とはいえ、現在一般に行われている受入検査が本当に「中立・公正な第三者検査」になっているかといえば、残念ながらいくつかの疑問を呈さざるを得ないのが現状です。
まず検査技術への信頼性の問題があります。現在日本には300〜400社の非破壊検査会社があるといわれていますが、CIW(=非破壊検査事業者技術認 定。社団法人日本溶接協会が実施する日本で唯一の検査会社認定制度)の認定を受けている事業者は151社に過ぎません(08年10月1日現在)。つまり、 一定の技術認定を受けていない検査会社が過半を占めているのです。
またCIW認定事業者の中でも、受入検査専門の会社はわずか1割程度とされており、多くの検査会社が、受入検査だけでなく、鉄骨製作会社からの自主検査も受託しているのが実情です。これでは真の意味での「第三者性」が確保されているとはいえません。
こうしたなかにあって、私たちジャストは、中立・公正な第三者検査を実現するため、既に20年以上も前から、受入検査のみを受託する方針を貫いてきまし た。東京都の「東京都鉄骨加工工場審査基準に基づく指定検査機関」第1号、「東京都検査機関登録」第1号、(社)日本溶接協会の「CIW認定A種」などの 認定を受け、業界トップの実績を上げてこられたのも、こうした姿勢と技術力が評価されたからこそと自負しています。