見出し画像

化学物質の安全取説

はじめに


新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
ジャストの調査診断部の伊藤と申します。

化学のことも困ったらジャストへ!!

ジャストでは2022年10月から新たに「環境分野」への取り組みをはじめました。  「環境」というと脱炭素をイメージする人が多いと思いますが、ジャストにおける「環境分野」とは環境調査、環境計量などを指します。 そこでより多くの方へ「環境」の事を知っていただくために「環境と化学」というテーマに当ブログで環境に関する情報を紹介していこうと思います。
2回目の今回は【化学物質の安全取説】と題して、正しく使えば安全で便利な、化学物質の取り扱いについて話をします。

化学物質とは


「化学物質」というと難しく聞こえますが、実は身近にたくさんあります。
例えば、【塩】は「ナトリウム」と「塩素」という元素からできた化学物質で、【水】は「水素」と「酸素」という元素からできた化学物質となります。また、【プラスチック】などの人工物も化学物質から作られています。
化学物質は、私達がより快適に生活するために必要不可欠なものとなっています。

生活の中の化学物質

職場における化学物質


現在日本国内で、輸入・製造・使用などされている化学物質は数万種類と言われています。その中には有害性・危険性がある物も含まれ、化学物質に関連する労働災害は、年間で約500件発生しています(令和3年 厚生労働省 労働災害発生状況より)。
便利で生活には欠かせない化学物質ですが、誤った使い方をしてしまうと危険が生じ、最悪の場合は死に至ります。従って作業者の安全を守るため、化学物質の取り扱いは、労働安全衛生法(安衛法)の中で厳しく規制されています。

ガソリンも化学物質です!

労働安全衛生法(安衛法)

職場における労働者の健康と安全を確保し、快適な作業環境をつくることを目的に、労働災害の防止について総合的、計画的な対策を推進することを定めた法律。

📖広辞苑(岩波書店)より


化学物質の有害性と危険性


有害性には鼻、口などから取り込むことによって生じる中毒などのほか、手についたり、目に入ったりして炎症などを引き起こすリスクがあります。
毒性には急性毒性と慢性毒性があり、急性毒性とは化学物質に曝露され数日以内に発症する(炎症など)毒性を言い、慢性毒性とは化学物質に長期間曝露され、数か月以上経過してから発症する(腫瘍など)毒性を言います。
危険性には引火、爆発などのリスクがあります。

有害性のイメージ図

化学物質の取説


化学物質の取説は、SDS(Safety Data Sheet : 安全データシート)と言います。化管法で指定された「化学物質又はそれを含有する製品」を譲渡又は提供する際は、それまでにSDSの提供をしなければなりません。
SDSには化学物質に関する16個の項目について記載があります。化学物質を取り扱う際はどれも重要な情報となりますが、特に「2.有害性の要約」については必ず確認してください。

化学物質排出把握管理促進法(化管法)


化管法は、PRTR制度とSDS制度を柱として、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律です。

💻経済産業省HP 化学物質排出把握管理促進法より

「2.危険有害性の要約」の読み方


特に注意したいところ!

1.ラベル要素 絵表示及びシンボル

ラベル要素にある絵表示及びシンボルを「GHSラベル」と言います。化学物質の危険性有害性の特徴に応じて9種類存在し、世界共通のルールとなります。
例えば【炎】では火災発生リスク、【どくろ】では健康障害リスクなど見た目に分かりやすくまとめられています。取り扱う化学物質にどのようなリスクがあるのかしっかりと確認をして下さい。

💻厚生労働省HP 化学物質のGHSラベルを活用した職場の安全衛生教育のための資料

2.注意書き

安全対策、応急措置、保管、廃棄について注意事項がまとめられています。労働災害を起こさないために、万が一にも労働災害を生じた場合の対策などについて記載がありますので、使用前にしっかりと確認をしましょう。

労働災害リスクを低減する基本


化学物質の取り扱いは、接触時間を出来る限り少なくすることが、労働災害(健康障害)リスクを低減する基本となります。その為には換気、保護具の着用、作業内容の見直しなどが必要となります。

換気

化学物質を取り扱う際は局所排気装置内で作業するなど、空気中に化学物質が滞留しないような対策を講じて、作業することが重要となります。また、局所排気装置は正しく使うため、定期的な点検が必要となります。

局所排気装置の例
定期的な点検が必要!


保護具

保護具には保護メガネ、マスク、化学防護手袋、保護衣などがあります。
使用の際は下記事項を確認してください。

  • 破損はないか

  • 取り扱う化学物質に対し適切なものか

  • 正しく装着できているか

  • 使用期限は守られているか

保護具
正しく使うことが重要!

労働災害時の対策


作業中に気分が悪くなった場合には新鮮な空気を吸う、化学物質が手についた場合には洗い流すなど、労働災害が起きた場合の対処法を決めておくことが重要です。
また、化学物質をこぼしてしまうなど漏洩してしまった場合を想定し、スピルキット(液体漏洩対策セット)などを準備しておくことも重要となります。

ジャストの取組


化学物質の取り扱いにはこれまで紹介した安全対策のほか、消防法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法などが関係しており、法令に従った管理・届出が必要となります。
また、水害などの自然災害が起きた際の漏洩対策の計画についても、安定的に事業を継続していくためには必要な事項となります。東京都環境局では「化学物質を取り扱う事業者の災害対策について」としてHP上にて、注意事項などがまとめられています。

自然災害(地震、豪雨、津波)

今後ジャストでは、法に準じた化学物質に関する取り組みについても新たなメニューとして始める予定です。
皆様のニーズに合わせて、サービスメニューを増やしていきたいと思っております。
お気軽にお問い合わせください。

おわりに


今回はジャストの新たな取り組みの中から「化学物質の取り扱い」について紹介しました。なんだか難しいな・・・と感じた方もいらっしゃると思います。しかし、安全に作業を行うためには大変重要なことになります。
これ以外にも「環境分野」のメニューは多岐にわたって存在しますので、新たなメニューの紹介も予定していますので、次回以降もお楽しみに!

年末駅ビルの抽選会で商品券をgetした子供のくじ運の恩恵にあやかり、昼から家族でとんかつを堪能する伊藤でした。

いいなと思ったら応援しよう!